表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/16

12,非常日常 7/4(朝)

いや、何かもうほぼ一ヶ月ぶりの更新ですね……。


 

「朋夜ーっ」

 それは授業終了を伝えるために響くチャイムを無視して上がる声。

「テストどうだった〜?……と、それよりも先ずは――」

 机に身を伏せ眠る一人の少年に、一人の少女は無邪気な笑顔とともに、少年が寝ていると知っていながら、否、知っているからこそ彼女は容赦なく、

「起きなさーーーーーーーーーーーーーーーーーーーいっ!!」

 少年の耳元で、何処から取り出したのか、メガホン片手に、容赦なく頭蓋を突き抜ける爆音を叩きつけ、

「お・き・ろーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

 その声は校内中に響き渡り、今日もダークネスビューティーこと黒姫の健在であることを伝えたのだった。




    ◆




「……頭がガンガンする……」

「朋夜は寝過ぎだよ」

「清人、四限って何だっけ?」

「たしか……家庭科、次は調理実習じゃの」

「そうそう私の絶対的な芸術性を秘めた手料理を披露する絶好の機会よね」

「あー……調理実習か…」

「昼休みに購買部に行く手間と朝の弁当を作る手間とが省けたけぇ。わしは助かるのぉ」

「あぁ、そうか実習で昼食を作るってのも悪くないね」

「そうね!だから私が……!」

「それなら久々に清人の料理を堪能できるね」

「あまり期待せんほうがええよ」

「……だから私が……!」

「うーん、僕は久々にオムライス食べたいな。最近麺類ばっかりだったし」

「朋夜の場合は麺類というより素麺ばかりの間違いじゃろ?」

「いい加減に無視すんなー!!」

 僕と清人がお昼に向けた話を弾ませていると、唐突に那和は人目も気にせず叫んだ。

 いや、人目を気にしないのはいつものことだが……。

「私が!作ってあげるってばっ!」

 ドンっと形の良い胸を張る那和。いや、何で……?

「ねぇ」

「ん?」

「そんなに自信があるのも気になるけど、那和って料理できたっけ?」

 僕が知る限り、流香は出来た気がするけど(包丁捌きが飛び抜けて一流だった)、那和が料理しているところは十年来の付き合いがありながら見たことがない。

「そんなの当たり前じゃない!」

 再び胸を張る那和。いや、まぁ、そんなに自信があるなら問題は――

「初めてでも教科書、見本、手本、道具に、参考書、そして才能があれば人間何でも出来るわよ!!」


 ――問題ある。


「どうしたの?ウニにマヨネーズをかけたものを見たような顔して?」

 それってどんな顔だよ……。

「……もしかして、一人で料理したことは……?」

「無い」

「手伝ってもらってなら……」

「無い」

「じゃ、手伝ったこととか……」

「それも無い。でも大丈夫っ!何とかなるわよ!!」

 さっきの、そして今も、いったいその自信はどこから来るのだろうか……?

 清人なんて、さっきから必死に顔を逸して笑いを押し殺してるし……。

「……那和、料理ってのは……」

「ゴリラにも出来るみたいだからきっと私にも出来る!」

 ……聞いちゃいないか……。

「まぁ、とにかく楽しみにしながら、首をタワシで洗ってきちんと手を洗って、うがいして待ってなさい!」

 そんな教育テレビで幼児向けによく聞くフレーズに似たセリフを一息に吐き出すように言って、那和は調理実習室へと走り去って言った。

「……毎回毎回、アクティブなのはいいんじゃが、あの手の自信はどこから来るんじゃろうか……?」

「……さぁ? まぁ、間違なく今回も何かやってくれるんだろうね……」

 僕と清人はそれを見送りながら、ため息をつくしかなかった。

「……ま。それでも最近はマシになった方じゃよ」

 そうだね、と僕は頷いた。

 僕らが入学した当初の頃に比べればたしかに那和は大人しくなった方だ。あの頃の那和は…………うん、思い出すだけでも酷い……。

「たしかに、最近は暴力沙汰も起こさんし、本当に大人しくなったね」

「そうじゃな。おかげで大分巻き込まれることも少なくなったけぇ、大したもんじゃよ」

 本当に、たぶん他人から見ても那和はだいぶ大人しくなったように見えるだろう。まぁ、それでも未だに一部から恐れ、恨まれていることに変わりはないんだが……。

 その辺の大半を占める数を黙らせたのはこの優しい友人だった。

「本当に、清人には感謝してるよ」

 なにを今さら、と清人は笑いながら調理実習室へと入っていった。

 だから、たぶん僕が言った言葉の後半は聞いていないだろう。

「――僕だけじゃなくて、たぶん那和も」

 と、僕が言ったことを。

 

ども、毎度お馴染みの婀羅洙です。


いやー何かもうお久し振りです。だいたい一ヶ月ぶりということで、覚えて下さってる方がいらっしゃったらぜひメッセージなどを……(以下略


さて、と。


久々に書いた『殺人鬼とペーパーナイフ』ですが、今回はたぶん、ほのぼのスクールライフという感じにいきたいと思います。


え?タイトルからしてもうほのぼの感が無いって?


何をおっしゃってる、そんなわけ――


――ありますね……。


まぁ、いいや。ほのぼのって言ってもこのキャラ達でのほのぼのは若干、本当に激しそうですから(笑)




まぁ、とにかくそんなわけで(どんな?)次回もお楽しみに。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ