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9,人格傷害 7/3(夜)

今回はちょっとばかし短い『義妹 VS 殺人鬼』完結。

 

 私。九条 冴は、現在、とある殺人鬼を捕まえて、そいつが多重人格な方で、しかも何か無駄に強くて、私の兄さんの御学友であるという世にも奇妙な状況にある。

「いい加減にコレ外して下さーい」

 さすがにこの状態が30分も続くと緊張感も薄れてきたようで、斬原 流香はそんなことを言い出した。

 いや、まぁ、もとから彼女に緊張感なんてなかったが……。

「……こんな状況ももう飽きたんですけど。ってゆーか、どうせ殺る気が無いなら離して下さいよー」

「だって、どうせ離したら私を殺そうとするでしょう?」

「しないですよ?」

「しますね」

「しないですってば」

「信用できません」

「妹。お義姉ちゃんを信用して下さいよ。」

「誰が妹ですか。誰がお姉ちゃんですか……。」

「お姉ちゃんじゃなくてお義姉ちゃんなんですが……」

「なおさらです!」

「嘘は言ってないでしょう!」

「いやっ嘘でしょうが!?」

「いいじゃないですか。那和はその気みたいですし」

「断固としてさせません!!」

「ってゆーか私がしたいです!」

「それこそ断固として却下です!!」

 ギャーギャーと、二人分の叫び声が裏通りの建物に反響して響き渡る。近隣住民……はいないだろうが、周りなど関係なしにギロチンに首と両手首をハメたままの彼女は意味もなく暴れ始め、

「うぅ……。このギロチン邪魔すぎですよ……」

 ……けっきょく外せないで半泣きになってしまっていた……。

「……いや、何かもうどうでもいいです……。とにかくっ外しますけど、もし何か危なげなことをやろうとした瞬間に―」

 私は、ギロチンを外すと同時に彼女の首に鎖付の首輪を、頭には犬耳付カチューシャを創りつける。

「……その犬耳と首輪を爆発させますからね……。

 ……だから私の首に今にも刺さりそうになっているこの短剣を今すぐに捨てて下さい……」

 ギロチンが消えると同時に、犬耳と首輪が装着された彼女が一瞬で距離をつめて来ていた。……本当に油断ならない……。

「―っ、義妹の素直過ぎるドジっ子ぶりに免じて許してあげま……」

「……3、2…」

「……?…何を数えてるんですか……?」

「…0」

 ボンッと音を立てて小さく爆発する犬耳(左)。

 犬のコスプレした彼女の写真が撮れなかったのは惜しかったが、まぁ、命には代えられないってことで……。

「何するんですか!?殺す気です……っか!?」

 またもや彼女の頭上で爆発。今度は威力が先ほどよりも強めな犬耳(右)の爆発が彼女を地面に叩き伏せる。

 彼女が手放した短剣を拾い上げ、刃の先でつついてみる。

「……今度こそ寝てますよね」

 どれだけつついてもまったく反応がない。本当に今度こそ気絶したようだ。

 やっとこの危険人物が沈黙したことに緊張の糸が切れ、溜め息がこぼれる。

 倒れた斬原 流香の上に腰掛けながら空を見上げて見る。

「……少し、冷えますね」

 見ようと思えば見える、今の私には見えない、青いのか、白いのか、赤いのか、黒いのかもわからない空を見上げながら、

「……兄さんは譲りません」

 私はそんなことを呟きながら、思わずその自分の言葉に赤面していた。

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