どこかへ帰りたい
帰りたい……
どこへ?
どこかへ…ここではない、どこかへ。
明日が、やってくる前に…どこか遠くへ。遠くへ。
あぁ明日がくる。
このまま夜が永遠に続けばいいのに。
そんなことを思いながら、オレ、蓮実鉄次は布団にくるまり、まぶたを閉じた。
高校を卒業するまでには、あと、1年半。
その先も、大学、会社と、永遠にどこかに属することになる…
選択しようがないように、いっそのこと世界が終わってくれればいいのに…
壮大に現実逃避をしてみたものの、オレは憂鬱をいっそう深めた。
ため息をつき、枕もとに置いている電気スタンドのスイッチを入れると、ぼんやりと天井が、光に浮かび上がった。
その刹那。
始まりは携帯から鳴り響く警告音だった。
カタカタと扉という扉が音をたて、天井から釣り下がった照明が今まで見たことのないくらいに右へ、左へとゆれている。オレは動くことも逃げることも出来ずに、ゆらゆらと変貌する世界を眺めていた。その間も携帯からの警告音は止むことはなく、不吉な予兆を告げるがごとくに鳴り響いていた。
これはまずい。
ゆれはおさまることなく、オレの平衡感覚がどんどん麻痺してゆく。
くる。
そう思った瞬間だった。
床がなくなった。
オレはそう感じたが、実際は体が投げだされ床に尻餅をついていた。
地鳴りというものを聞いた気がする。
点けたはずの電気スタンドは、コンセントが抜けたのか、明かりは消え、部屋は暗闇に沈んでいた。
部屋を出ようと、出口と思われる方向を目指して四つん這いのまま、ゆれに体をあずけながら進む。と、頭上から凄まじい力が頭部や首に加えられ、オレはさらなる闇に包まれ、目の前にチカチカと光が飛び散った。
あぁ頭を打つと、本当に星って見えるんだな。
オレはそんなことを思った……
……いつの間にか意識を失っていたらしい。肩をゆすられオレは意識を取り戻した。
すでにゆれはおさまっているらしいが、気配がおかしい…
肩をゆすられるまでに、どのくらいの時間が経過したのだろうか。
痛む頭を押さえながらオレは身を起こしてみることにした。
これは……夢なのか?
オレを取り囲んでいるのは、見知らぬ顔、顔、顔。人々は言葉を発しているようだが、意味がつかめない。なぜなら。
日本語じゃないからだ…
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そして読んで下さいました皆様、ありがとうございます。
少しでも楽しんでいただけましたら、心より嬉しいです。
次回、また文章を通してですが、お会い出来ましたら、
この上ない幸せです。