表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

0話 最後の夜

「お前は強いのに怖がりだな」


「五月蝿い」



フードからはみ出たわずかな紅い髪をふるふると振ってその言葉を拒絶する。


その少年は強くならなければならなかった。


何故なら総長、所謂チームのNo.1であるからだ。


だが下っ端の中に強い奴がいる。


その下っ端は目の前にいる副総長よりも強い。


そして、少年をも抜いてしまいそうだった。


そんな下っ端が幹部にさえなれないのは、チームに加わって間もないためまだ人望がないからである。


余程のことがない限り強い者は人を惹きつけるのでその下っ端が近い将来総長となるだろう。


だがそれは揺るぎないことであったとしても未来のことであって現在の総長は少年である。


総長がメンバーよりも弱ければチームの面目丸潰れだ。


少年はそんなことでメンバーが嘲り笑われるようになるのは耐えられなかった。



「でも、それでいいんだ」


「え?」



もっと総長らしく何事にも堂々としろ、というような事をてっきり言われると思っていた少年は驚く。


そんな声は予想していたのか調子を変えずに言葉が続く。



「なんでお前の愛称をフェスにしたかわかるか?」


「フェネクスから単純に取っただけだろ?」


「半分アタリで半分ハズレだ」



だから怒るな、と言いた気にフードの上からわしゃわしゃと頭を撫でられる。


フードが落ちそうになり少しむっとするが、話の先が気になって怒る気にはなれない。



「じゃあ、なんでだよ」


「それは…」


「奴らが来たぞ!」



答えを遮るようにメンバーの声がする。


本人はその気がなかったのだろうが、間が悪い。


だがメンバーを放って話を続けるわけにもいかない。



「行くぞ、フェス!」


「おう!」



後で聞き直せばいいか、と少年は先に厄介事を片付けようとそちらへ向かう。


だが少年がその問いの答えを聞くことはなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ