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天才と凡才 1

魔法世界アルカディア。


誰もが魔力をもって生まれてくる。…そんな世界。



しかし、魔力があるといえど皆がみな魔法が使えるわけではない。

むしろ使えるものは一握り。


魔法を使うには知識が必要だ。そして膨大な魔力も…





プロローグ





魔法世界アルカディアの中でも、一際高度な魔法文明を持つカルナーダ帝国。


数多の大国を飲み込み吸収してきたこの国は、大陸のほぼ中心に位置している。



そして更に中心に、噂の学園はあった。




国立シファネ国際魔法学園。

魔法が扱えるだけでエリートと呼ばれるこの世界の中で、この学園は世界一有名だ。




エリート中のエリート。


そう呼ばれるトップクラスの実力者の集まる名門。卒業すれば出世はすでに約束されたようなもの。


事実ほとんどの国で中心的な役割を果たしている人物はこの学園の卒業生である。


しかし、当然入学するのは難しい。完全なる実力主義。学力が低くても、魔力が低くても当然受かることはない。


競争率は高く、倍率は1000倍や2000倍ではすまない。



その分選りすぐりの秀才達が集まるのだが…







…―極々稀に例外がいるらしい






「るんるんたった、るんたった。今日はーとっても、良い天気ー」




人混みをかいくぐりながら、鼻歌を歌い歩いている少女の名前はアルカナ・リクルート。


世界一の魔法学校に入学することを許された合格者の1人だ。


今日は入学式。初々しい新入生、新入生を物珍しそうに眺める在校生が通学路には満ち溢れている。


アルカナの少し毛先に癖のかかったツインテールがゆらゆらと楽しそうに揺れる。




「…アルカナ、嬉しいのは分かるけどうるさいよ。僕が変な目で見られるんだからやめてよね」




その隣で当てつけのように軽く耳を塞ぎ、不機嫌そうに歩いている少年の名はユアン・リクルート。


同じく合格者の一人だ。



同じリクルートという姓であるが、血のつながりは一切無い。


二人はシファネ国際魔法学園と、さほど遠くない距離にある孤児院の出身だ。




当然2人は全く似ていない。アルカナは金髪碧眼で、ユアンは黒髪黒眼。



平凡を自他共に認めるアルカナに対して、ユアンは100人中99.5人が振り返るであろう美少年ぶりを発揮している。






「…さすが悪魔の化身は言うことが違いますね」



「……誰が悪魔の化身だって?」



ユアンの形の良い眉がひそめられるが、アルカナは気にした様子もなく両腕を組みながら一人うんうんと頷く。



「案外、人は自分というものを分かっていないのです」



「…なるほど。君とは後でじっくり話をしなきゃならないってことがよくわかった」



アルカナがちらりと隣を確認すると、負のオーラを撒き散らし微笑む悪魔っぽいナニカ。

なんとなく他の通行人も距離を取っているように感じる。

アルカナもさっと目をそらし、他の通行人と同じく逃げるように歩いていく。




そう。下手につつくと恐ろしい目にあってしまうのだ。




こういうのを…君子危うきに近寄らず!……ん?何か違うような…




「さわらぬ神に祟りなしって言いたいわけ?」





そうそう、そんな感じ。…………あれ?






「ふーん」




……なんか嫌な予感が…



アルカナが横を見れば、ばちっと冷めた視線と目があった。


どうやら考えていることが声に出ていたらしく、アルカナの顔がさっと青ざめる。



頭の中が警鐘を鳴らし、どこかに逃げ場はないかと激しく視線をさまよわせる。



…だが、人がごった返しているこの場所で逃げるようなスペースはない。



アルカナは背中から冷たい汗が一筋流れていくのを感じた。





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