不発弾と劣等生
戦友が死んだ
その男は魚雷を密造中だった
男はいった
魚雷は艦船しか攻撃しないと
爆弾は都市を無差別に灰燼とする
魚雷は軍艦だけを標的にする
それを雷撃という
軍艦とは大型空母と戦艦だけだ
小型艦艇はふくめない
雷撃は美学がある
それが口癖だった
彼は一度も戦闘に参加したことはない
常に後方で爆薬の開発ばかりしていた
そんな男が戦局を一転させる劇薬を開発した
軍上層部が無差別爆撃に運用するというと
彼は水雷戦のみにその兵器の使用を限ったが
ついに実戦に投入されることなく終戦を迎えた
一説によると最後の大海戦の終局に試用され
大型空母に突貫したが不発弾だったという
本日その空母の艦上で平和式典が催される
不発弾はまだ爆発していない