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みるきぃ★ファームへようこそ!  作者: 神夏美樹
♡そしてそれぞれの道へ
50/50

♡みるきぃ☆ファームへようこそ!

 麦の刈り取りも全て終了して、季節は夏から秋へと移って行きました。楽しかった夏休みももうすぐ終わりです。南、夏子、三人組は、地球に帰る時がやって来ました。

 皆は、住み慣れた農場の母屋を出ると、バス停に向かって歩き始めました。リンダとボスも一緒です。

 それぞれが、自分なりに色んな事を経験して逞しくなった夏休みでした。

 空が高い気がしました。うろこ雲も見え始め蜻蛉とんぼの姿もみられます。

 「結局、暮らしたな」

 南がぽつんと呟きました。皆も同じ思いでした。ここに来た時は、これ程不便な環境で暮らせるか不安でしたが、結局暮らせた。不必要に便利な生活は何も生まないのかも知れないとも思い始めました。

 「ねえ、リンダ」

 夏子がリンダに尋ねます。

 「来年も、ここにきて良いかな。地球で自堕落に暮らすのも魅力的だけど、夏休みは麦刈よって言えるのも何となくカッコ良く思えるの」

 夏子はそう言って微笑みました。

 「勿論よ歓迎するわ。私ね、今年の冬は、チーズ作って暮らすつもり。上手に出来るかどうか分らないけど頑張る」

 そう言ってはしゃぐリンダに南が釘をさします。

 「仕事ばっかりじゃぁ無くて、勉強もしろよ」

 はしゃいでいたリンダのテンションが一気に下がります。

 「大丈夫だよ、ちゃんとやるよ」

 「お前の大丈夫は信じられん」

 リンダはちょっとむくれます。それを見た田中がこう言いました。

 「リンダさんは自分の良い処を伸ばして貰えれば良いと思いますよ」

 「あたし、あたしの良い処って…何?」

 「それは自分で木がついて下さい」

 田中はそう言って笑顔でリンダに答えました。

 一本道の端っこにバス停が見え始めました。いよいよ本当に皆と御別れの時が来た様です。

 そしてバス停について五分ほどで宇宙バスはやって来ました。

 リンダは皆と最後の挨拶。ちょっと胸が熱くなる感じに襲われて、でも、何時か又、きっと皆と会える事を信じる事にしました。

 そしてバスのドアが閉まり。バスがゆっくりと動き始めます。

 リンダは、それが見えなくなるまで手を振り続けました。そしてバスが見えなくなると、ほっと小さな溜息をつきました。

 「さ、ボス、行こう」

 リンダは再び牧場への一本道を引き返して行きます。その道すがら、コオロギの音、トンボの群れ、風にそよぐススキ、全ては秋に向かって進んで居る事に気がついて、旨が締め付けられる不思議な寂しさを感じました。

 「来年も会えると良いね」

 リンダはボスに向かってそう言いました。そしてボスは「わん」と一吠えしてリンダの横を歩いて行きました。


♡みるきぃ★ファームへようこそ! End

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