♥ピクニック
大きく星が一つ流れました。
「へぇ、初めて見たわ流れ星…」
夏子が少し興奮した声でそう言います。流れ星は、リンダの星では珍しく有りません。細かい塵が、割と多い空間に浮かんでいるらしく、一~二時間、夜空を眺めて居れば、に三個は見る事が出来ました。
「地球では流れ星に願い事すると、それが叶うって言われてるのよ」
夏子が夜空を見上げてそう言いました。
「じゃぁこの星は、願い事をいっぱい叶えてくれるんだ」
夏子は少し改まった口調でリンダにこう尋ねました。
「リンダは、何を願う?」
しかしリンダはこう言って言葉を濁します。
「あたし、あたしはねぇ…」
夏子はその様子を微笑みながら見詰めるだけでした。そして、願い事と言うのは、有る意味目標と言う事でも有ります。目標を達成するには努力が必要で、願い事は、全てやりきって、後は『運』と言う時に用いるべきと思っていましたから、夏子は何かに祈ると言う事をした事が有りません。
でも、この星空は、何かを祈って見たくなる…そんな星空でした。
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南達がリンダの星に来て、初めての休日です。ぼんやり過ごすのも良いかもしれませんでしたが、折角皆が集まっているのだから、何かしようと言う事になり、お弁当を持って、ピクニックと言う事に成りました。
初夏の風はアウトドア心を擽ります。目的地は、南とリンダが一度訪れた事の有る、お気に入りの丘、どうせならぼんやりするのも皆でと言う事です。
目的地までは歩いて一時間ほどの場所です。
「き、きついわね、結構…」
夏子がちょっとばて気味っですが天気も良くて皆楽しそうです。鈴木はデジタルカメラで、目に付いた物を、片っぱしから写真に収めて行きます。写真の趣味が有ったとは、リンダは知りませんでした。コンパクトなカメラですが、かなり本格的な一眼レフなのだそうです。




