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1人目

私の日常は...?

朝七時十四分。

私は車に乗って家に向かっていた。

だけど、家に向かってる筈なのに手は細かく震え、冷や汗をかいていた。

緊張して当然だ。今から人を殺すのだから。


こんな事になったのは今から1週間くらい前...

私は帰り道の途中にいた。

名前も住所も電話番号もわかる。

でも...何かが変だった。

帰り道を歩く前の記憶がないのだ。

昨日何があったかは覚えているのに...

そんな違和感を抱えながら私は帰り道を歩いた。

数分歩いてのどが渇いたので道中にあるコンビニに寄った。

♪ピンポーン♪

「いらっしゃいませ。」

店内は暖かく、おでんの香りがする。

もうそんな季節か。

そんなことを思いながら飲み物を手に取った後、立ち読みをしようと雑誌コーナーに置いてあった一冊の雑誌を手に取った。

月刊雑誌メー。

よくある都市伝説系の雑誌だ。

ペラペラとページをめくる。

すると、一つの記事が目に留まった。

:特集!!ドッペルゲンガーの真実!:

私は都市伝説とかを信じたり驚いたりしない。

しかし、この記事を読んだ時...恐怖で体が固まった。

この記事にはドッペルゲンガーとしてこの世に転生した時の記憶障害や心情や特徴などが奇妙なほど詳しく書かれていた。

そしてその記事に書かれていた心情や特徴がまるで私の心を読んで書いたように完全に一致していたのだ。

気分が悪くなり、その雑誌を棚に戻し、手に持っていた飲み物を買って外に出た。

そして自分に言い聞かせた。

(ドッペルゲンガーなんていない。間に受けすぎだ。)

数十分後...私は家に着いた。

いつも見慣れてる家。

でも一つの違和感を覚えた。

自分の部屋の電気がついているのだ。

学校に行く前に部屋の電気は消したはずなのに。

それに今日は夜まで親がいないはず。

強い恐怖が私を襲う。

さっき読んだ記事が頭をよぎる。

(ドッペルゲンガーなんていない...私はドッペルゲンガーじゃない....)

(きっと親が一度帰ってきたんだ。)

そう思いながら震える手でドアノブをつかむ。

そして扉を開けた。

"ガチャ"

玄関から料理をしている音と匂いがする。

"トントントン"

"ジュゥゥゥ"

(親が帰ってきてたんだ。)

しかし安心したのも束の間...

キッチンから声が聞こえた。

「お母さん?帰ってきたの?」

"わたし"の声だった。

その瞬間、息が止まった。

安心が確信と恐怖に変わる。

あの記事に書かれていたのは本当だった。

そう考えるしかない。

この先のことは?どこに行けば良いのか?

そんなことを考えてる間にキッチンの扉に

影がうつる。

その影は私と瓜二つだった。

「誰もいないの?」

"わたし"が喋る。

呼吸が速くなる...

冷や汗が出る...。

止まらない...

止まらない...

"ガチャ"

キッチンの扉がゆっくりと開く...

(まずい...逃げなくちゃ...!)

震える足を無理矢理動かして玄関の扉を開けて外へ逃げた。

そこから何分走ったのだろうか?

私はよくわからないところにいた。

そこでやっと冷静な心を取り戻した。

そして気がついたら涙が溢れていた。

私はもうあの家に入れない。

好きなドラマも見れないしネイルも出来ない。

"ザァァァァ..."

(...雨だ。)

雨が降っているのに気が付かなかった。

雨を気にしていられる状態じゃなかったからだ。

(とにかく...雨宿りできるところを探そう。)

そして私は見知らぬ場所を歩き始めた。

雨宿りをできるところを探して大体30分が経過。

雨はまだ止んでいないし、雨宿りできるところがない。

(このまま凍え死ぬのかな?)

そんなことを考えていた。

そんな時、傘を持った1人の男が私の前に現れた。

「大丈夫か?ほら、この傘を使いな。」

低い声でそう言うと男は私に傘を差し出した。

「でもそれじゃあなたが...」

「大丈夫だ。俺にはカッパがある。」

男は鞄からカッパを取り出して身につけた。

「それで...君はなぜここに?」

「いや...その....」

言えない。私がドッペルゲンガーだなんて。

「あー...なるほど。君も"ドッペルゲンガー"なんだね。」

!?

「なぜそれを...?」

特に何も言ってないのになぜ??

...待って...?

君"も"?

ってことは...

「あなたもドッペルゲンガーなの...?」

「...。あぁ。」

やっと心の底から安心した。

仲間が...味方がいた。

やっと肩の力が抜けた気がした。

「君...自分がドッペルゲンガーだと気づいてからそんなに経ってないだろ。それならここに行くといい。」

そう言うと男は私に一枚の紙切れを渡した。

「何これ?」

「この紙に書かれた住所に行け。そうすれば君は助かる。」

「わかりました。ありがとうございます!」

「幸運を祈るよ。では。」

「えっ?あなたは行かないのですか?」

男は少し体を震わしながらこう言った。

「俺はもう行ってきた。じゃあな。傘は君にやるよ。」

そう言うと男は小走りで雨の中を駆け抜けて行った。

「...。」

ちょっと惚れちゃったかも...。

とにかく...あの男の人からもらった紙に書いてある住所の示す場所に行ってみることにした。

25分ほど歩いて、その紙が示す場所についた。

その住所にあった建物にはこう書いてあった。

"便利屋ミミズク屋"

何処か不思議な感じがする店だった。

(さっき会った男の人がここに行けば助かるって言ってたけど本当かな...?)

疑心暗鬼になりながらも私はその店に入った。

"カランカラン"

"チクタクチクタク"

中は古い木の匂いがするレトロな店だった。

「いらっしゃい。本日はどうなされましたか?」

中からは70歳くらいの白い髭を生やした男性が出てきた。

どうもこの人がオーナーらしい。

「えっと...その...」

「ホォ...あなたはドッペルゲンガーですか...?」

「えっ...?なんでわかったのですか?」

「ホッホッホッ。長年生きているとわかるものですよ。」

(そうなのだろうか?)

「さて...本日は何をしにきたのですか?」

「えっと...助けて欲しくて...」

するとおじいさんは少し驚いた顔をして言った。

「もしかして...あなたはまだ"チャプター"をしていないのですか?」

「えっ...?チャプター...?なんですか?それ。」

「おっと...ご存知でないようですね。では説明をしましょう。」


「ドッペルゲンガーとは地球にいる人間のコピーのことです。そしてドッペルゲンガー本人は元の人間と同じ生活をしようとします。つまり、最初は自分がドッペルゲンガーであるという自覚がないということです。そしてドッペルゲンガーは2週間以内にやらなければならないことがあるんです。」

「やらなきゃいけないこと?」

「そうです。それをしなければ2週間後、あなたは強い痛みに襲われ...死にます。そしてその遺体は霧となって消えていく。そんな残酷な道を歩んでしまうのです。」

「私は...死にたくない。」

「それはあなた以外の皆さんも同じです。みんな死にたくはありません。」

「で...?私は何をすれば生きれるのですか?」

私がそう言うとおじいさんは少し暗い顔をしながらこう言った。

「それは...自分の元となった人間。つまりオリジナルを...殺害する。」

「...え?」

頭が真っ白になった...。

言ってる意味は理解できるけど理解したくない。

「つまり...あなたが生きるにはもう1人の自分を殺さないといけない。そう言う事です。」

「私が私を殺す...?」

「えぇ。」

頭の中で腹を刺され、苦しそうに死んでいく私の想像をしてしまいその場で吐き戻してしまった。

「辛いのはわかります。今まで見てきた人もみんなそうやって苦しみました。」

「...いきなりそんな事言われても無理ですよ...。私はまだ高校生ですよ?」

「えぇ。わかっておりますよ。みんな自分を殺すことに多少の抵抗はあります。なので私たちはこういうサービスをしております。」

そういうとおじいさんは一枚の紙を見せてきた。


『木菟屋  殺害代行サービスのご案内    

自分と同じ見に目の人を殺すのには多少抵抗があるでしょう?

そこで私たちミミズク屋は新しいサービスとしで殺害代行”を始めました。

このサービスは対象の人間を瀕死の状態にし、とどめだけをお客様にしてもらうことで、お客様の精神的負担を減らす。

そういうようなサービスとなっております。

依頼料:7000円

遺体の回収は私たちが絶対します。

私たちが対象を殺害するわけではないのでで了承ください。

私たちミミズク屋はあなたたちドッペルゲンガーの味方です。                   』


「これは...?」

「私たちミミズク屋がやっているサービスでございます。」

「殺害代行...サービス?」

「えぇ。サービスの内容は書いてある通りです。」

「このサービスは対象の人間を瀕死の状態にし、とどめだけをお客様にしてもらうことで、お客様の精神的負担を減らす....ってことは完全に殺害してくれる訳ではないってことですか?」

「はい。」

依頼料は7000円...安すぎる。でも私はまだ学生だからバイト代で払えそうな金額でよかった。

遺体も勝手に回収してくれるしいいな。

「どうですか?これをするとあなたは生きてあの家に帰れますよ?」

私はとどめをするだけでいいんだ。

なら...

「...。お願いします...。」

「毎度あり!では手続きを行います。いつあなたを殺害すればいいですか?」

「1週間後にまた両親がいない日があります。その日の朝なら大丈夫だと...」

「1週間後の朝...7時くらいですか?」

「はい。」

「服装はどうしますか?」

「今来ている制服にしておきます。そのまま学校に行くと思うので。」

「承知しました。ちなみに殺害予定日まで過ごす所はありますか?」

「いいえ...何処にもなくて...。」

「ならここに客室があります。そこで過ごしてはいかがでしょう?」

「わかりました。お願いします。」

「ではここにサインを...」

これでやっと家に帰れる。

これでいいんだ...。

そしてミミズク屋の客室で約一週間泊まった。

そこでの暮らしはとてもリラックスできてよかった。

そして...今、プロの殺し屋が運転している車で移動している。

そしてついにこの時がきた。

「今からサービスを始めます。」

そう言うと殺し屋は私にトランシーバーを渡して行った。

そして5分後...

「瀕死の状態にしました。こちらにきてください。」

ついにとどめを刺す時...。

自分はもう覚悟を決めていた。

そして...家の前まで来た。

「つきましたか。どうぞこちらへ。」

手招きされたので玄関まで歩いた。

そこには変わり果てた私が倒れていた。

苦しそうに胸を押さえていた。

"ピチャッ"

「ッ...。」

私の血が私の靴のところまで流れてきた。

そして倒れている私は...私を見つめている。

「うぅっ...」

吐き気がする...でもここまできたら後戻りはできない。

「最後はあなたの手で終わらせてください。」

殺し屋の男が言う。

そして私は、殺し屋からあるものを受け取った。

そして倒れている私の上に腰を下ろした。

苦しそうにこちらを見ている。

...ごめんね...私....。

「さよなら。私。」

私はそう言うと私の喉のあたりを...。

「ゴッ...」

"ブシッ..."

...。

「チャプター完了。彼女が送れる筈だった人生を楽しんで。」

終わった。

私は死んだ。

そして後ろから担架を持った男が来た。

「遺体と清掃を行いますのでお客様は先に学校へ行ってください。ご利用ありがとうございました。」

そう言うと男は私の体を持ち上げ、担架に乗せた。そしてその上に白い布を被せた。

その間、私は自分の部屋から鞄を持って外に出た。

その時、白い布から私の腕がはみ出ていた。

そして男が歩くたび、その腕が震えていた。

その時、吐き気と強い後悔が私を襲った。

私は...人を殺した...。

私は...私を....。


2日後...。

"とある高校の屋上から高校二年の女子生徒が飛び降り自殺したことが報道された。

その女子生徒は遺書に'私は私を殺した。この罪は一生償えない。だから私の死で償います。さよなら。'と書いてあり、警察はイジメや家庭環境などを調べています。"

(女子高生...か。前見たあの子もそのぐらいの年だっただろうな。あれからもう一週間が経った。あの子は元気だろうか。)

そんなことを思っていた時、テレビに自殺した女の子の顔写真が映った。

俺はその写真を見て吐き気がした。


その写真は、俺が一週間前に傘をあげたあの女子高生だった。


1人目はこれで終わりです。

次回もお越しくださいね。

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