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母を助けるために

影が、玉座の間全体を覆い尽くす。


床も、壁も、天井も――すべてが、ティアナの領域に染まる。


「……っ!」


フィオナの足元が、揺らぐ。

影が絡みつく。

動きを、確実に殺しにかかっている。


「厄介なら、潰すだけよ」


ティアナの声は、静かだった。

感情がない。

余裕がある、わけでもない。


ただ、淡々と――最善手を実行している。

影が、二人を飲み込みにかかる。


「フィオナ」


王の声。

低く、短い。


「……分かってる」


フィオナは、即座に答えた。

剣を、地面に突き立てる。

星霊術が、床を這う。

光の線が、玉座の間全体に広がる。

計算され尽くした配置。


「光の魔術展開、ね」


ティアナが、わずかに眉を上げた。


「私の影を、押し返すつもり?」

「違うわ」


フィオナは、剣を引き抜いた。

星霊術が、刃に集中する。


「押し返すんじゃない――」


踏み込む。

光の紋様が、一斉に発動し影が、弾かれる。

完全には消えない。

だが、明確に力が削がれた。


「――封じるのよ」


フィオナの剣が、交差する。

正面から。

星霊術と、影の魔力が、激突した。

火花ではなく、光が散る。

空間が、軋む。


ティアナは、初めて――防御に徹した。


「……っ」


押される。

わずかだが、確実に。


その瞬間――光の紋様が、一斉に輝きを増す。

ティアナの足元から、光の鎖が伸びる。


「……封印術?」


ティアナの声に、初めて焦りが滲んだ。


「まさか――」

「もう逃がさない」


フィオナの声が、響く。

光の鎖が、ティアナの両足を縛る。

影で溶けようとする。

だが――弾かれる。


「……っ!」


「お母様に影を使って逃げられないように……考えたのよ。影の移動を、封じる方法」


王が、ティアナの背後に回り込む。

同じように、光の紋様が発動。

ティアナの両手が、縛られる。


「……やるわね」


ティアナは、低く笑った。

乾いた、感情のない笑い。


「でも、まだ――」


影が、爆発的に膨れ上がる。

光の鎖が、軋む。


「……っ、そんな力尽くに……」


フィオナが、歯を食いしばる。

星霊術を、さらに流し込む。

だが、薬の持続時間ももうすぐ切れるからか、身体が限界に近い。


「フィオナ、下がれ!」


王が、叫ぶ。

だが、フィオナは動かない。


「嫌よ!ここで逃したら、また――また、お母様を失う!」


剣を、地面に突き立てる。

全身の星霊術を、紋様に注ぎ込む。

光が、眩いほどに強まる。

「……っ」

ティアナの影が、押し戻される。

鎖が、さらに強く食い込む。


「この拘束を解いて欲しいんだったら、薬を返して」


「……」


「お母様を、元に戻すための薬」


フィオナの声が、裏返る。


「それがなきゃ、お母様は――」

「ずっと、このままなのよ!」

「……っ」


ティアナの目が、揺れる。

影が、わずかに弱まった。


その一瞬を――王は、見逃さなかった。

踏み込む。

無駄のない動き。

ティアナの懐に、滑り込む。

狙いは、彼女の腰に提げられた小袋。


「……っ!」


ティアナが、反応する。

だが、鎖に縛られている。

動きが、遅い。

王の手が、小袋に届く。

影が、王の腕を襲う。

だが、光の紋様がそれを弾く。


フィオナが、血を吐くほどの力で――術を維持している。

王の手が、小袋を掴んだ。

引き千切る。

中から、小瓶が転がり出る。


赤い液体が入った、小さな硝子瓶。


「……あった」

王が、呟く。


「これか」

「……っ」

ティアナの顔が、歪む。

「返しなさい、それは――渡せない」


影が、さらに激しく暴れる。

光の鎖が、砕けかける。


フィオナは、限界を超えてもなお術を維持する。

血が、口の端から零れる。

すぐに国王がフィオナにガラス瓶を渡した。

それを合図にフィオナは薬を作るために材料を並べ、自分が出すことのできる星霊術を調合しながら込める。


「《調合》――!」

昨日あげるのをすっかり忘れてしまいました。

今日は21時にもアップします。

ここ最近忘れることが多くなってしまってごめんなさい

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