連携をとるには
霊術を“撃つ”のではなく、纏ったまま斬る。
空間が歪み、剣の軌道に遅れて光が走る。
ティアナは影で距離を詰めた。
正面衝突。
黒と星が、正面から噛み合う。
衝撃で、玉座の間の床が沈む。
「……っ!」
フィオナの歯が、きしむ。
押し負けていない。
だが、明らかに重い。
ティアナの魔力は、質が違う。
削っても、削っても、底が見えない。
「無理をしているわね」
間近で、囁く声。
「身体が、追いついていない」
「……知ってるわ」
フィオナは、低く答えた。
次の瞬間、星霊術を一段階だけ強く流す。
刃が、黒い魔力を切り裂く。
ティアナの動きが、わずかに遅れた。
その一瞬を――
王は、見逃さない。
踏み込む。
今度は、無駄のない一撃。
斜め下からの斬り上げ。
狙いは、ティアナの脇腹。
影で避けるには、角度が悪い。
「……っ」
完全には避けきれない。
刃が、浅く入る。
致命傷ではない。
だが、確実に効く位置。
黒い魔力が、反射的に傷口を覆う。
ティアナは、初めて舌打ちした。
「……連携、ね」
王は、深く息を吐いた。
腕が、震えている。
それでも、剣は構えたまま。
「まだ……終わっていない」
フィオナは、横目でそれを確認する。
庇われていない。
守られてもいない。
ただ、隣に立っているだけ。
それで、十分だった。
星霊術が、再び強まる。
床に描かれた光の紋が、淡く脈打つ。
ティアナは、二人を見て――
ほんの一瞬だけ、口角を下げた。
「……厄介」
感情ではない。
純粋な、戦闘評価。
影が、再び蠢く。
だが今度は、逃げでも、防御でもない。
真正面から、叩き潰す構え。
三人の力が、再びぶつかる。
この戦いは、まだ――
終わらない。




