2対1へ
投稿が遅くなってしまって本当にごめんなさい!!!!
瓦礫の向こうで、王はゆっくりと身を起こした。
剣を支えに、立ち上がる。
一見すれば、まだ余力はあるように見える。
だが――攻撃が読まれている。
胸の奥で、はっきりと理解していた。
攻める余地。
間合いを測る時間。
次の一手を選ぶ猶予。
それらが、確実に削り取られている。
正面に立つティアナは、肋腹から血を流している。
呼吸も、万全とは言いがたい。
それでも。
攻撃の密度は、落ちていない。
むしろ――上がっている。
王は剣を握り直す。
「……化け物め」
吐き捨てるように言いながらも、その声には、かすかな苦味が混じっていた。
影が、足元で静かに揺れる。
火も、風も、雷も――すべてが、彼女の呼吸に合わせて脈打っている。
王は、一歩踏み出しかけて、止まった。
この距離。
この圧。
このまま正面から打ち合えば――
(……次で、決まる)
自分が、ではない。
“どちらか”が、だ。
そして直感は、冷酷な答えを突きつけてくる。
(このままなら……私が、押し切られる)
「……」
王は、剣先を下げないまま、視線をティアナから外さずに息を整えた。
そのとき。
玉座の間に、別の気配が落ちた。
軽い。
だが、鋭い。
影でも、魔力でもない。
人の足音。
「――そこまでよ」
澄んだ声が、空間を切る。
ティアナの瞳が、初めて揺れた。
「……?」
王も、はっとして視線を向ける。
崩れた柱の向こう。
瓦礫を越えて、剣を手にした少女が立っていた。
夜気を纏ったままの、銀の髪。
息は乱れている。
だが、視線はまっすぐだった。
「……フィオナ」
王が名を呼ぶ。
ティアナは、ほんの一瞬だけ、目を細める。
「……来たのね」
その声音に、驚きはない。
あるのは、わずかな苛立ちと――興味。
フィオナは、ティアナと王の間に、ためらいなく踏み込んだ。
「ここから先は、私が相手します。」
剣を構える。
その背に、星の気配が宿る。
王は、その姿を見て、奥歯を噛みしめた。
(……最悪のタイミングだ)
自分が、追い詰められた瞬間。
そして――ティアナが、まだ立っている、この局面で。
ティアナは、ゆっくりと首を傾け、フィオナを見下ろした。
「……さっき、私に負けたのに?本当に、空気が読めない子」
影が、再びざわめく。
だが、さきほどとは違う。
玉座の間に、三つの力が揃った。
王は理解する。
――戦場が、変わった。
そしてこれはもう、
一対一の勝負ではない。




