殺し合いの前奏
東塔最上階。
夜風が、崩れた壁から吹き込む。
フィオナとリーネは、背中合わせで立っていた。
瓦礫の向こう側が、ゆっくりと歪む。
音が消える。
光が、吸われる。
空間そのものが裂けるように、黒い線が走った。
「……来る」
フィオナが低く言う。
次の瞬間。
そこに、女が出てきた。
黒いドレス。
銀色の髪を靡かせ深い群青色の目でこちらを見ながら歩いてきている。
その女の足元に触れた床が、粉々に砕けていた。
「……いい城ね」
そう呟きながら月明かりに照らされているのはティアナだった。
楽しそうに、息を吐く。
「壊しがいがある」
リーネが剣を構える。
「フィオナ様、距離を――」
その瞬間ティアナが消え爆音が辺りを轟いた。
フィオナの横を、黒い衝撃波が通り過ぎる。
そしてすぐに床が消滅した。
「っ!」
フィオナは落ちないよう氷壁を展開した。
「《氷障壁》!」
しかし黒い斬撃が直撃し、氷魔術が粉砕され、その裏から、ティアナの拳が飛んできた。
剣で受ける。
衝撃で、塔が揺れる。
「いい反応!」
ティアナが笑う。
リーネが雷で斬り込む。
「《雷迅》!」
雷光の一閃。
ティアナは首を傾けるだけ。
しかしすぐに短剣をなげ、ティアナの肩を裂く。
「……最高」
ティアナ黒い魔力が爆発的に増えた。
そしてすぐ魔術によりフィオナとリーネが吹き飛ばされる。
しかし、フィオナがすぐに体勢を立て直し反撃を開始する。
「《焔陣・連焼》!」
氷、雷、水、土、風、炎――全属性を同時展開した。
塔が、光で満たされる。
中心で、ティアナが笑っている。
「もっと……!」
ティアナの魔術と混ざりあたりは爆音が響き渡った。




