表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

19/53

影の正体

ほんっっとうに申し訳ないです!!!!

内容をアップする時間を間違えてしまっていました!!

お詫びというのもあれなのですが明日の朝6時にもアップします。

楽しみにしてくださっていた方々、本当に遅れてしまって申し訳ないです。

また、ぜひ次話もお楽しみください!

 影が吠え、地を滑るように二人へ迫る。


 エルザリアはそれを真正面から迎え――

 足元の霧をひとつ、爪先で軽く弾いた。


「《霧矢》」


 わずかな動作

 しかし次の瞬間、霧が鋭利な矢の形をとり、影の右腕を吹き飛ばした。


 影が苦悶の叫びをあげる。


 フィオナはその“格の違い”に一瞬見入ったが、影が再生を始めたのを見て走り出す。


「右側、取ります!」


「ええ、お願いするわ!」


 フィオナの足元に光が集まる。


「《光輪刃》!」


 光の輪が影の足元を斬り裂く——

 しかし切断しきれない。

 むしろ影は光輪を飲み込むようにして形を歪めた。


 影の腕がフィオナへ振り下ろされる。


 次の瞬間——

 エルザリアの姿が影の背後にいた。


「遅いわ。」


 彼女が指先で影の背を軽く叩く。

 それだけで空間が震え、影が前のめりに崩れた。


 フィオナが息を呑む。


 ただの一撃。

 にもかかわらず、影の動きが完全に止まっている。


 エルザリアは微笑んで振り返った。


「フィオナ。あなたの“素の力”が見たいの。」


 その声が合図だった。


 フィオナは胸の奥が熱くなるのを感じる。

 世界が一瞬、静かになる。


「《星環収束》——展開!」


 光が渦を描き、影の胸元へ吸い込まれる。


 その瞬間——


 影の身体が一部、完全に消えた。


 霧でも欠片でもなく、

 “存在ごと削れた”。


 エルザリアの瞳がわずかに見開かれた。


「……やっぱり。」


 影が咆哮し暴れだす。

 すぐエルザリアは一歩踏み出すと、霧が彼女の周囲で渦を巻く。


 髪が浮き、空気が震えた。


「《霧断輪》。」


 光が走り——

 影が輪郭ごと消し飛んだ。


 ただの一瞬。


 残ったのは、霧の揺れる音だけ。


 フィオナが息を整える間もなく、エルザリアが歩み寄る。


「……手伝ってくれてありがとう。それにしてもすごい力ね、フィオナ。」


「いえ、私は……まだ——」


「謙遜はいらないわ。」


 エルザリアの瞳が、確信を持って告げる。


「あなたのその魔術。あれはエルフだけのものじゃない。あなたの母——ティアナが隠し通した血よ。」


 フィオナの心臓が大きく跳ねた。


「……母の……血?」


 エルザリアは静かに言った。


「ティアナは——エルフと“もう一つの種族”の混血。あなたはその血を、誰よりも濃く継いでいる。」


 森の霧が風に押され、開けた空が覗いた。


「だからあなたはこの森に入れたし——影従者に狙われた。」


 フィオナは息を呑んだ。

 エルザリアは続ける。


「ここから先は……ティアナが命がけで隠してきた真実よ。」


「……教えてください。全部。」


 エルザリアは頷いた。


「もちろん。」


 その声は、

**“かつて天才ティアナを導いた者の声”**だった。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ