墓地
三日後――王城・私設墓地
葬儀が、終わった。
小さな、葬儀。
参列者は――
王と、フィオナ。
そして、ごく限られた側近のみ。
かつて魔族となった王妃は静かに、葬られた。
国を挙げての盛大な葬儀は行われなかった。
理由は、明白だった。
ティアナは、魔族として多くの人を、殺していた。
罪のない、人々。
その事実は消せない。
「……お母様」
フィオナは、小さな墓石の前に立っていた。
名前だけが、刻まれた墓石。
装飾も、何もない。
ただ――
『ティアナ・ルチアナ』
それだけ。
「こんな形に、なっちゃったけど――」
フィオナの声が、震える。
「でも、私は――お母様を、誇りに思うわ」
風が、吹く。
冷たい、風。
王が、フィオナの肩に手を置いた。
「……フィオナ……民は、ティアナを許さないだろう。歴史にも――彼女の名は、残らない」
「分かってる」
フィオナは、頷いた。
「でも……それでも、いいの。お母様は――私を救ってくれた。……それだけで――十分」
涙が、零れる。
「私が……お母様を、覚えていれば――それで、いい」
王は、静かに頷いた。
そして――墓石に、花を供える。
白い、花。
ティアナが、好きだった花。
「……ティアナ」
王の声が、掠れる。
「すまなかった……守れなくて、すまなかった」
二人は、しばらく――墓の前に、立ち尽くしていた。
これにて第1章とさせていただきます!
ここまでくることができたのは皆さんのおかげです。
本当にありがとうございました。
次回は一週間後とさせていただきます。
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