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夢の中で


「まだ――」


影の長剣が、腹を貫通している。

だが、構わない。もう一歩、さらに一歩。

剣が、身体を裂いていく。


「……っ、あ――」


血が、溢れる。

口からも。

傷口からも。


それでも――


フィオナは、ティアナの目の前まで辿り着いた。

影の長剣が、完全に身体を貫通している。


ティアナの手元まで――


「お母様――」


フィオナは震える手で注射器を、ティアナの首筋に当てた。


「戻ってきてっ――!」


針を、突き立てる。

液体が、流し込まれる。

すべて。

一滴残らず。


「――っ!」


ティアナの身体が、硬直する。

影の長剣が、消える。

フィオナの身体が、崩れ落ちる。


「フィオナ!」


王が、駆け寄り抱き留める。

血が、大量に流れている。

「フィオナ、フィオナ!」

「……父さま」

フィオナは、か細い声で答えた。

「薬、は、入れ、ら…れ、ました」


目を、ティアナに向ける。

ティアナは、立ったままだった。

身体が、震えている。


「……っ、あ――」


ティアナの声が、掠れる。

黒い魔力が、揺らぐ。

膝が、崩れる。

身体から、黒い靄が立ち上る。

影の魔力が、剥がれ落ちていく。


「……っ、ぐ――」


ティアナが、胸を押さえる。

苦しそうに、息を吐く。


身体が、痙攣する。

黒い靄が、さらに濃く立ち上る。

影の魔力と、薬の力が――体内で、激しくぶつかり合っている。


「……っ、あああ――!」


ティアナの叫び。

身体を、押さえつける。

床に、倒れ込む。

黒い魔力が、全身から噴き出す。

それが、徐々に――

薄れていく。


「……ぐ、ああ――」


呼吸が、荒い。

全身が、汗で濡れている。


ティアナの身体が、さらに激しく震える。

もがいている。

何かと、戦っている。


そしてティアナの身体から、力が抜けた。

動かなくなる。

「お母様――!」


フィオナが、叫ぶ。

だが、声は届かない。

視界が、暗くなる。

意識が、途切れる。

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