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第8話 魔法基礎論 姉妹喧嘩付き

「魔法基礎論の講義の担当をします、清野奈々(きよのなな)といいます。あと、」


「同じく担当の清野さくらで〜す。この講義は私の可愛い妹ちゃんと共同で講義をするの〜よろしくね〜」


「ねえ、そういうこと言わないでってさっき言ったばかりじゃないの」


「え〜いいじゃ〜ん!奈々は可愛いんだから〜!」


「えー、この脳内お花畑の姉は置いといて、この講義では魔法に関する最低限の知識について学んでいきます。この講義はテストを実施するからしっかり勉強するように」


「奈々ちゃん意地悪〜!無視しないでよ〜!」


「しつこい!って、抱きつくな!」


「奈々ちゃんが私にかまってくれるまで抱きつくもん!」


「きもい!離れろ!」


何を見せられているんだ俺達は。

この教室にいる全員が思ったことを俺が代弁させてもらった。

この二人も面接官だったが、この茶番を見る限り、面接の時は抑えていたのだろう(特に姉の方)。

姉妹のじゃれあいが5分ほど続いた後、講義に入った。

ちなみに姉は縄で梱包された。


「魔法と一言で言っても、それには幾つかに分類分けすることができるの。じゃあ…千尋(ちひろ)、言ってご覧なさい」


指名され、起立した女性に見覚えがあった。

確か先程百鬼君が話題に挙げていた女性だ。


「はい。魔法には属性を付与して敵に攻撃するための攻撃魔法、ダメージを回復させる治癒魔法、味方の能力上昇効果又は敵への能力減少効果を与える付与魔法の三つに分かられます」


「そう。魔法には攻撃魔法、治癒魔法、付与魔法の三つに分けられます。中でも治癒魔法の習得は非常に困難で、治癒魔法の使い手はそこの姉を含めても全体の数%しかいないわ」


「そうよ〜私って実はすごいのよ〜」


「姉さんには口も縛りつけた方がいいかしら?」


「奈々ちゃん、冗談でもそういう事言っちゃダメよ、めっ!」


「・・・」


一瞬、教室内が凍りついた。これは本気(マジ)な目だ。妹は平気でやるぞこれ。

すると新たに縄を用意し始めた。この人本気でしようとしてる。(結局未遂で済んだ)


「あーあと、これは余談なんだけど、三年前ぐらいに引退した絶対者で、『魔法掴み』っていう技を編み出したやつがいたのよね。魔法の核を掴むとか何とか言って。確かに理論上はできるけど、そんな事常人でもない限りできないわ」


「えっ」


「どうした洸平?」


「あっ…いや、別に」


『魔法掴み』は確かに師匠の得意技であり、基礎的な技と言っていた。

それに、滅魔隊の上位のごく限られた人物にしか与えられないという絶対者…まさか…


「そういえば今年、その『魔法掴み』をやってのけた受験生がいたわね、それについてはその子に聞いた方が手っ取り早いでしょうね。個人情報だから誰が使ったのかは伏せるけど」


「誰だ?」「お前か?」「知ってる?」そんな言葉が飛び交った。それ俺のことです。


 定期的に姉妹喧嘩があったものの、無事(?)魔法基礎論の講義は終わった。二限目終了後は昼休憩の時間である。

昼食は学内にある食堂で食事を摂る。何とその食堂、本学生なら無料で食事を提供されるため、学生からの人気が高い。

メニューの種類も豊富であり、昼休みは必ず混雑するため、昼休憩の時間はかなり長めに設けられている。


「ちょっと早いけど食堂でご飯食べる?」


「賛成!もう腹ぺこぺこだぜ!」


「そうしたいのは山々だけど、剛、櫛塚君、クラッシュ君、あれを見てごらんよ」


二限が終わってさほど時間が経っていないにも関わらず、自分の番を待つ行列が外まで続いていた。


「三限は空きコマだし、時間をずらして行こう」


仕方なく食堂を後にしようとした時、誰かに声を掛けられた。


「あんた、ちょっと面貸して」


振り向くと、先程清野准教授(妹)に指名されていた千尋という女性が立っていた。


「あ!あのデカち…」


爆弾投下しそうだった百鬼君を嵐村君が刹那に口を押さえた。あまりの速さに千尋さんはよく分かっていない様子だったため、最悪の事態は免れた。


「あたしは()()千尋。自分で言うのもだけど、さっきの准教授は私の姉よ」


どうりで名前呼びだったわけだ。

仮に知人だったとしても、名前呼びはおかしいと思った。


「前に座ってるあの女子、めっちゃおっぱいでかくね!?」


唐突に百鬼君の言葉がフラッシュバックしてしまった。その結果、見ないようにしていた千尋さんの胸部に思わず視線がいってしまった。

実際に正面から見ると確かに大きい、って俺は何を考えているんだ、馬鹿野郎、変態野郎。


「…本当男子ってどいつもこいつも…」


どうやら爆弾投下してしまったのは俺のようでした。俺の大学生活終了のお知らせかもしれない。


「まあ、今回は目を瞑ってやるわ。それはそうと、さっき奈々姉さん、縛られてない方よ。あの人が言っていた魔法掴みを使った受験生ってのは、あなたのことかしら?」


その場にいた三人の驚きの視線が俺に向いた。

ただの基礎技になぜそこまで驚くのか、俺には理解ができなかった。















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