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第60話 万天の支配者

「櫛塚、百鬼!やつは危険だ、今すぐここから逃げろ!」


「でも…」


不動教授に手を貸そうと思ったが、剛が俺の襟を掴み走り出した。


「洸平!あいつはヤベェ。ここは不動さんに任せて行くぞ!」


「簡単に逃すわけねぇだろ!俺様の炎に焼かれて死ぬがいい!」


サンダースはそう言うと地面を強く叩いた。その瞬間、サンダースを中心に半径10m程度の炎の壁が空立った。遠くからも熱気を感じる。


「この炎は触れただけでお前達人間は溶けてしまうだろうな、お前達は俺様特製の簡易的な領域(テリトリー)に幽閉されたってわけだ!ここなら思う存分遊べるぞ!」


逃げ場は強制的になくなった。この炎エリアがなくなるのは、俺達人間か魔族のどちらかの命がなくなった時だけ。

さあ、第二ラウンドの始まりだ。


「食いやがれ!俺様の地獄の炎をな!」


「お前達、避けろ、死にたくなければな!」


サンダースが放った炎が三人を襲った。今戦っている場所は住宅街の中。開けた場所であったため間一髪避けることができた。

しかし、予想外のことが起きた。サンダースが放った炎が周囲のものを燃やし始めたのだ。付近の人間の避難は完了しているが、この炎が燃え広がると被害がものすごいことになってしまう。


「二人とも、やつは見ての通り火の魔法が強力だ。お前達は攻撃に参加しなくていい。ただ、私が合図をしたら櫛塚、アレをやってほしい」


「アレ…?」


「危ねぇ!」


剛が俺と不動教授を押した。しかし、剛の服に魔法が命中してしまい、激しく燃え始めた。剛はそれを確認すると、きていた服をビリビリと破り捨て上裸状態になった。


「戦いの最中だと言うのに、呑気に会話とは…俺様も舐められたもんだなぁ!」


攻撃がさらに激しくなった、サンダースが周囲を破壊しているおかげで避ける範囲が広くなったものの、攻撃を与える隙がない。

俺達は咄嗟に瓦礫の影に隠れた。


「不動教授、アレって何のことですか?」


「お前の得意技だ。師匠から直々に教わった技があるだろう?」


「不動さん!俺には何か役目はないんすか!?俺だけ仲間外れは酷いです!(小声)」


待ちきれない!と言わんばかりの表情で懇願する剛に不動教授は少し考えてからこう告げた。


「だったら、百鬼は奴の気を引いてくれ。少しだけでいい。あの炎を()()()()



 遠くからでも見えるあの火、魔族が発動したものだろうか?


「清野奈々、アレを消すことはできないか?」


「できると思います。行ってきましょうか?」


「奈々ちゃん、それはやめた方がいいわ。感じてるでしょ?この熱気を。近づけば私達のほうが危ないわ」


そう、我々は近づくことができない。水魔法を全身に纏いながら近づいたとしても、すぐに蒸発してしまうに違いない。

悔しいが、ただ見ていることしかできない。


「中にいるのは誰だ?」


「確か〜、学生が二人と塁君だったはずですよ」


「不動か、それなら心配はいらないな。なにせ、あいつは"万天の支配者"だからな」


まあ、彼は気に入ってないようだがな。



 何だよ、この人間共、俺様の攻撃を避けるだけじゃねぇか。あの長髪の絶対者も大したことないな。俺に攻撃ができないなら、体力のない人間が先に潰れる。俺様の攻撃が当たらないのは癪だが、持久戦に持ち込めばいい。でも…


「やっぱりイライラするな、ちょこまかと動きやがって、これで終わらせてやるよ。滅術(めじゅつ)"大炎渦!」


これは俺様のとっておき、この狭い場所ならほぼ全てを覆い尽くす程の範囲。避けきれるわけねぇよなぁ!?


「燃えろ燃えろ燃えろぉ!」


辺りはまるこげになった。領域(テリトリー)の炎ほどではないがこいつも普通の火ぐらいの熱さはある。人間を殺すには十分だ。


「櫛塚、百鬼よくやった」


煙の中から声がした。振り向くとあの絶対者が剣を振りおろしていた。幸い切られたところは核のある腹から少しズレていた。絶対者の男は「ちっ」と舌打ちをすると、またどこかへ姿をくらました。

いやそれよりもなぜやつは生きている?


「みたいな顔をしているな、サンダース。お前の魔法は強力だが、()()()()()()()何も脅威ではない」


煙の中から二人のガキも現れた。よく見たら服が焦げて、一部破けている箇所もあった。

つーかあのガキ、掴むとか言ったか?魔法を掴むなんて、まさか…


「また身内が例の悪夢にやられた!?これからは肉弾戦もしなきゃいけないのか?」


「…悪魔?」


「聞いたことないか?魔導士泣かせの悪魔だよ。俺達が頑張って魔法を放っても、生半可な魔法は全部効かない人間いるらしいぞ。しかも、その方法が魔法で相殺するとかじゃなくて…」



「魔法を直接掴むこと…そうかそうか、お前があの"魔導士泣かせの悪夢"か!まさかそんな見た目をしていたとはなぁ!」


「いや、それは俺の師匠の異名だ。俺はただの学生だ」


「なんだ、人違いかよ。まあいい、こっちも準備は整ったしな!」


サンダースの周囲に火の玉が現れた。ここまで追い詰めてもまだやる気なのか。今更魔法攻撃に被弾するようなことはない。


「まずは雑魚からだ、複数人相手の時は一番弱いやつから潰すのが鉄則だからな」


サンダースは俺や不動教授を狙わず、火の玉を全て剛に向かって放たれた。今回は数が多すぎた、ざっと見ても火の玉の数は20を超えていた。次々と放たれた火の玉は、遂に剛に命中してしまった。


「剛!!」


「ハハハハハハ!まずは一人目、次はおま…えだ?」


剛がいた方向から、火の玉がサンダースに向かって近づいていた。え、近づいてた!?


「あっちぃぃぃぃぃ!超根性(めっちゃこんじょう)ぉぉぉぉ!不動さん、あとはお願いします!」


きっと俺もサンダースも同じリアクションをとっていることだろう。サンダースが動揺した一瞬の隙をついて、剛が奴の両足を握りしめた。


「なっ、てめっ離しやがれこのガキ!」


咄嗟に腕を伸ばして、奴が放った魔法を掴んだ。

その直後、三人に大きな影がかかった。


「今度は逃さない」


不動教授の剣がサンダースの腹を切断した。

サンダースは声にもならないうめき声を上げて、その場に倒れ込んだ。










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