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第59話 影に潜む者

 洸平達とは少し離れた清野姉妹&履修学生達は、野良魔族と対抗していた。


「さくら、これキリがないわ。それにこいつら、誰かに操られてるわ」


「そうよね〜、魔力の流れが変だものね〜。奈々ちゃん、その操っている張本人は見つけられそうかしら〜?」


「…いや、探知できてないわ。この野良を使役するやつは相当な相当の手練れよ」


「…そう」


さくらは、妹の奈々が自分を見ていないことを確認し、全く違う方向を見た。

あっち側は確か累君達がいる方向だったわよね?ってことは…


滅術(めじゅつ)…"操り人形"」


「ぐ、ぐぁぁぁぁ!」


動きが早くなった!?それに、パワーも、まるで別人になったみたいだ。

野良魔族の数は依然として減っている様子がない。

はやく親玉を見つけなければ、何か手掛かりやキッカケがあれば…。


「「ぐぁぁぁぁぁぁ!!」」


「「!!」」


俺と剛は目の前の魔族に気を取られ、背後からの別の魔族への反応が遅れてしまった。

攻撃を喰らう、そう思ったその時だった。音もなく不動教授が現れ、一瞬でその場にいた魔族を全て倒した。


「あ、ありがとうございます」


「礼はいい。当たり前のことをしただけだ」


そういえば、不動教授の武器を初めて見た気がする。

光の剣?のような見た目だ、いわゆる


「不動教授、それラ◯トセイバーですか?」


「らいとせいばー?はよく分からないが、この武器は"光丸ひかりまる"という名前だ」


ちゃんと名前あるんだ。バトラーの剣も名前つけてるのかな、いやあいつの性格上つけてなさそうだな。


「櫛塚、百鬼(なきり)、今の奴ら以外に魔族を見たか?」


「いや、見てないっす!」


「そうですね、来た時に少しいましたけど、それ以外は特に…」


「櫛塚?どうかしたか?」


「いや…その…」


今、ほんの一瞬だけ魔力の流れを感じた。ただ魔力を帯びているだけではない、何かしらの魔法を出す時に出る魔力だ。つまり、近くに何かがいる。


「なんだ?うんこまれそうなのか?」


「それだけは絶対にない。不動教授、さっき魔力を感じませんでしたか?」


「魔力?私には何も感じなかったぞ」


「もちろん俺も感じてねぇぞ」


感じ取ったのは俺だけ、しかしここで俺が出しゃばるわけにはいかない。勝手な行動をして他の人に迷惑をかけるわけにはいかない。


「櫛塚、何か気になることがあるならするといい。滅魔隊は基本的に禁止事項以外ならば何をするのも自由だからな。万が一お前がミスを犯したのなら、その尻拭いをするのが我々の役目だ。櫛塚、百鬼、好きに動け」


「「…!はい!」」


見えない敵の討伐のため、俺は動き出した。

 

 うーん、少ないなぁ。"操り人形"が殆どの機能していない。そこら中にいる人間達が蚊を殺すかの如く破壊している。

"操り人形"、ステラが作り出した傀儡に自身の意識を送り、一時的に操作する術。一度に操作できる数は最大で50。数が多ければ多いほど動きは単調になるが、操作する数が少ければ少ないほど動きは俊敏に、複雑にできる。

しかし、今はそれすらも完封されている。絶対者はまだ分かる、でもあの胸が大きい女と緑髪の男と、袋を被った…人間?にですら破壊されている。

これは()()を使うしかないのか?でも、アレを使ってしまえば自分が自分でなくなってしまう。

頭でそんなことを考えていると、破壊された僕の人形が隣に落ちてきた。あのマッチョがここまで飛ばしたのか。…あれ?あの半々髪の男はどこに…

視界が突然上下逆転した。ただ僕の視界の片隅に映ったのは、僕の下半身の後ろにその男が立っていたことだった。


「…ごめん、しくじった。()()()


ステラの身体が二つに分かれる少し前、俺は剛に耳打ちをした。


「剛、その野良魔族をあの屋根の方に投げてくれないか?俺の推測が正しいなら、その近くにいる」


俺が感じていた違和感、それは魔力の流れだ。屋根の上から、ほんの一瞬だけ魔力の流れを感じていたのだ。魔力が色々な方向に飛んでは戻り。繰り返していた。()()()()()()からそんなことができるわけがない。

お安い御用だ!と言いながら剛はそばにいる死体を放り投げた。死体は血を周囲に撒き散らしながら屋根の上に乗った。

そして、俺は見逃さなかった、わずかながら血の軌道がおかしかったことを。

俺は予想で剣を振るった。

肉を切る感触が剣を通じて手に伝わった。

その時、初めて姿を捉えた。その顔には驚きと諦めの表情が浮かんでいた。

その頃、ステラが操っていた野良魔族の動きが一斉に止まり、頭から身体の崩壊が始まった。


「野良が一斉に…誰かは分からないが、よくやった。全教授達、怪我人がいるなら清野さくらの元へ案内しろ、流石にこれ以上は危険と判断した。撤収せよ」


「「「了解!」」」


櫛塚と百鬼(なきり)、お手柄だぞ。遠目からだが、準階級者と思われる魔族の体が二つに分かれているのを確認した。下半身の体の崩壊も始まっている。

私は二人の元へ駆け寄った。


「二人とも、今回の講義はこれで終了との指示が出た。だから私に…」


「変だ。上半身の体の崩壊が始まってない」


「…なんだと?」


櫛塚の目の前には魔族の上半身がある、しかし彼の言う通り崩壊はしていない。まさかこれは、


「ハハハ…!おめぇは俺がいないとダメみたいだなぁ!絶対者ならまだしも、こんなガキに隠密が見破られ核を切られるなんてな!」


メキメキと音を立てながら身体が再生し始めた。私は再生を防ぐべく、すぐに追撃を行なった。しかし、もう手遅れだった。


「おいおいひでぇな、人が話してる途中…いや今のは独り言か。だとしても再生してる最中に斬りかかるなんて、同族でもいないぞ?でも、もう十分だ。()()()()()()()()()()()()()()。ここからはこのサンダース様が相手だ!」


最初の姿とは正反対の存在感のある姿は変化し、濃い魔力が周りに広がった。私は実感した、こいつを野放しにしてはいけないと。














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