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第57話 準備はするに越したことはない

 大丈夫。ぼ、僕の滅術(めじゅつ)がバレることはない。人族が相手ならば…さ、最近はゴロゴロしすぎたせいで、今月の税が足りない…早く、早く傀儡を作らないと…。

四回目の魔族討伐演習のその日、とある魔族は闇の中でひっそりとそう決意した。

 

 早いことで五回目の魔族討伐演習の日が来た。つまり、俺達学生も滅魔隊の人達と同じ任務を全うするということだ。

…というのは建前で、流石に準階級者以上やそれに近い魔族の相手は滅魔隊員や絶対者、その上俺達の戦闘中は常に誰かが目を張り巡らせているため、今までの講義でも死者は一人も出ていない。

なぜこんなことを知っているのかというと、清野さくら准教授がうっかり口を滑らせてしまったからであり、その場にいた学生も皆聞いていた。

 その日の早朝、俺とバトラーは大学内の訓練場にいた。目的はもちろん、いつもの鍛錬だ。


「洸平!一歩足を下げるな、俺みたいなやつは見逃さず、追い打ちをかけるぞ!」


「分かっ…たよ!」


俺にはバトラー程の腕力はない。真正面から打ち合えば確実に押し負ける。

代わりに、剣術や戦法を模索しているところだ。だが、そう簡単にいかないのがバトラーという男(正確には魔族)。フェイントにも引っかからず、速さでも追いつかれる。

流石といったところだ。悔しいが、実質滅術を使わず、単純なフィジカルだけで上位に上り詰めたやつだからな。


「よし、朝はこれくらいにしておこう。どうせ昼もやると言うのだろう?」


「はぁ、よく分かってるじゃん」


「まぁ、一応お前の相棒だからな。一応な」


「…何か含みを感じるんだが?」


「気のせいだろ、ほら飯を食いに行くぞ」


朝食を美味しくいただいた。

朝食後、バトラーは人間界の探索といって外出した。

服を着替えるため寮に戻ろうとした帰り道、不動教授と板川教授の話し声が聞こえた。こっそり聞き耳をたててみると、


「この前の準階級者がまだ討伐されていない?それはどういうことですか?」


「俺にも分からねぇよ。なんなら、姿すら見つけられてないとも言っていたぞ。おまけにここ最近急増している野良魔族、何か関連してるだろうな」


「今日は最後の特別講義の日ですが、予定通り実施しますか?」


「ああ。準階級者のことは気がかりだが、死者は出ていない。それに、野良程度に苦戦するような学生はいないだろうからな。万が一の時は俺達がどうにかすればいい」


この会話を聞いた時、にゃん丸の言葉を思い出した。今大学付近では準階級者もしくは階級者が出現しているとの情報があるらしいぞ?

今日の講義、何事も起こらなければいいのだがとそう思った。

 さて、講義は夜の19時から始まる。現在の時刻は14時、体調のことも考えて17時には切り上げよう。

昼食を摂ったあと、改めて訓練場へ向かい、扉を開けようとした時、


「ぬぁぁぁぁ!!」


聞き覚えのある声が中から聞こえた。よく聞くと足音がいくつも聞こえる。


「全員まだまだだな。お前達が洸平に追いつきたいと言ったから相手をしてやったが、その程度じゃ洸平には勝てないぞ?あいつはああ見えて結構努力家だから、お前達もそれと同じ、いや何倍も努力しねぇといけないぞ?ほら、早く立て!」


「…うん、もう一回!」


剛、佐久間、クラッシュに加えて、俺達と同期の学生も一部見られた。


「いいか!?お前達が今すぐ付けるなのは地力だ。それさえ揃えばあいつと肩を並べることなんて余裕だ。…でも、洸平は他人の感情を読むことがクソみたいに苦手だ、コミュ力だったら勝てるだろうな!」


…さっき俺のこと珍しく褒めていたのに、なんだか雲行きが怪しくなってきたぞ?


「あと、平気で人の神経を逆撫でるし、チビだし、無駄に頑固だし、なんつーか面倒くさいやつなんだよなぁ、これで雑魚だったらお役御免だったろうに」


「悪かったな、面倒くさいやつで」


「そうそう、本当にな…ってなんだ、いたのかよっ!?」


ちっ、かわしてきた。至近距離かつ不意打ちだったはずなのに、このフィジカルお化けめ。

バトラーがギャーギャー言っているのを尻目に俺はみんなと話し始めた。


「洸平!お前まさか俺たちのために来てくれたのか?」


「みんなのためってわけではないけど、まあ利害は一致してるみたいだし、何より…負けっぱなしも嫌だからね」


「いいな…その相棒と実践形式で鍛錬できるの」


「「相棒じゃねえよ」」


実際仲はいいじゃんと言おうと思った佐久間だったが、これ以上雰囲気が険悪になるのを防ぐために黙っておいた。


「じゃあお前達、少し休憩してから再開するぞ。でも洸平、お前は違う、さっき来たばかりだからな」


俺達は向かい合い武器を構えた。このあと、みんなも含めてみっちり鍛錬をした。


「よし、今から4グループに分かれてもらう。本来は5グループのつもりだったんだが、信楽が急遽予定が入ったらしくてな。まあ人数が多いに越したことはないだろう?」


説明を受けている最中、街中に警報が鳴り響いた。


「ちっ、()()()。じゃあ、女性達は清野准教授達の元へ、男性で魔法が使える者は俺の元へ、それ以外は不動教授の元へ行け。そして教授陣、学生と民間人の安全を第一に、例の目標が確認できたらすぐに応戦するように」


「「「了解!」」」







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