第45話 まあ、得意不得意ってあるよね
色々な人物の視点でお送りします。
おっす、俺百鬼剛!今、るかさんのゼンシンギノウの講義を受けてるところなんだ。なぜか体を動かさず、ゲーム三昧の日々だ!最高すぎて仕方がないんだよ!他の奴らも色んなゲームを楽しんでいる、ただ一人を除いては。
「え、何その技?えっちょ攻撃できな…死んだ」
「ここどこ?いやさっきも見たなここ…って何か出てきた!やばいやばい、行き止まり!?」
「はい、はい、はい、あれ?ズレた。はい、うん、あれタイミング合わない…やばい戻れなくなった」
そう、洸平だけがこれに苦戦していた。簡単に言えば、ゲームセンスが絶望的に無かったってやつだ。
この講義が始まって1週間経ったのだが、ずっとこの調子なんだよ。
その結果どうなったかと言うと、
「……( ^ω^ )」
洸平は壊れてしまった。何度も敗北、ゲームオーバーになり、洸平の精神もゲームオーバーになったようだ
(今のうまくね!?)。
こういう時は声をかけるべきなのか、はたまたそっとしておくべきなのか。
俺は一旦そっとしておくことにした。洸平には悪いけど、まずは自分優先でいこう。
あ、どうも嵐村佐久間です。今俺達は…(以下省略)。
洸平があまりにもできなさすぎて、
「えぇ、こんなにできない子初めて見たよ。もう悪い意味で制覇しそうじゃん。えぇ…」
あのるかさんですらお手上げ状態だった。
あんなに困っているるかさんを見るのは初めてだ。
一方洸平の相棒はというと…
「はぁぁぁ!?!?何だよそれクソったれが!!」
発狂に加えて台パンをかましており、お手本のような迷惑客と化していた。
そのせいか、皆バトラーとは距離を置いている。
あともう1人変な人がいて、
「るかさん、これ全クリしました。前作よりは優しめでした。ところで次回作はどこですか?」
「…あっちにあるよ。それにしてもクラッシュ君はペースが早すぎない!?君はいい意味で制覇しそうだなぁ!?何で今年はこんなにも極端なんだよぉぉ!!」
白く灰になっている洸平、無双状態のクラッシュ、異常事態に発狂するるかさん、ゲームに発狂、台パンをかましてるバトラー。
状況はカオスだ。ここにいる誰もこの状況を収拾することができなかった。
こんにちは、クラッシュです。さっき全身技能の講義が終わって、みんなと早めの昼食を取ることにした。
僕はすごく機嫌がいい。ここ最近は毎日ゲーム三昧だからだ。
でも、洸平だけはそうじゃないみたいで、ずっとブツブツと何か言っている。
自分のことに集中してて、あまり周りを気にしていなかったけど、洸平バトラーコンビが苦戦してる声だけは聞こえていた。
洸平は体を動かす系なら、お世辞にも右に出る者はいないと思う。しかし、それ以外(勉強は除く)になると、すごいポンコツになり下がる。
しかも、それを引きずるのたま。
あまり学生に関心がない不動さんですら、その状態の洸平を心配していた。
もちろん僕も心配だ。普段静かな部屋に加えて、負のオーラが蔓延しているからだ。
「洸平…大丈夫?今度、るかさんが良いって言うなら僕が教えてあげようか?」
そう提案すると、全身白くなった洸平が、
「イヤ、ダイジョウブダヨ」
…もうダメだ、完全に心が折れている。
こういう時、どうするべきなのだろうか?
結局、気の利いた言葉を言うこともできず、翌日の朝を迎えた。
はぁ、魔導士推薦なのに、魔法の修行がしたいのに、前衛に出るわけがないのに、どうして全身技能の講義が必修なのよ。
それだけじゃない、課題も意味不明。ゲームして猫の攻撃を避けなさい?
猫が一筋縄でいかないことは、洸平の公開処刑を見て分かったけれど、ゲームと何の関係があるって言うの?ただるかさんがサボりたいだけじゃないの。
でも…今までゲームを殆どしたことなかったかけれど、こんな形ですることになるなんて。
るかさんには感謝してるわ…ほんの少しだけね!
さて、ちゃっちゃとこのステージでもクリアして次に進もっと。
皆さんおはこんばんにちは、櫛塚洸平です。俺は今地獄を味わっています。
その原因は、厳しい講義でもなければ修行でもありません、ただのゲームです。
俺は、この手の娯楽はものすごく苦手です。
俺が小学生の頃、何かの付き合いで同じクラスの子とテレビゲームをすることになったのだが、あまりに酷いプレイだったらしく、出禁を食らった。
操作してるキャラクターが俺だったらなと何度考えたことか。
はぁ、早く猫試験(1分間耐え凌ぐやつ)の合格をもらって、このゲーム地獄から抜け出そう。
みんな、元気かい?影夢学院大学教授兼滅魔隊の絶対者、信楽るかって言います。今ね、全身技能の講義でゲームをさせているんだ。
…えっ?なんでかって?
もちろん僕がサボるためってのもあるけど、本音を言うと、反射神経を鍛えて、色んな感覚を研ぎ澄まさせるためなんだ。
実はこういうのって色んなことに使えるんだよね。周りを見たり、音を聞いたり、セリフから次の行動を予想したり、そして1番の目的が、講義で説明した通り、初見でも対処できるような対応力を身に付けるためさ。
にゃん丸君(累君の愛猫の名前だってさ、にゃん丸w)はすばっこくて、攻撃のバリエーションも広く、奇想天外な動きをする。初見対応力を上げるには持ってこいだよね。
そうそう、2人とんでもない子がいるんだよね。
1人はどんなゲームも全クリしちゃう子、もう1人は一度もクリアできない子、こんな両極端な子が同時に2人いるのは初めてのことで、頭がパンクしそうだよ。
そのできない方の子には仕方なく2周目をさせてるところ。だってよくない意味で制覇しちゃったんだから。
「洸平君、今回は特別に2周目をさせてあげるけど、それに甘えちゃだめだからね。魔族との戦いに2度目なんてほぼない。『僕後出しジャンケンなら強いんです』とかそういうのはナシだよ。最初から勝てる努力をしないと、救える命も救えなくなるかもしれないんだからさ。分かった?」
僕にしてはいつもより少し口調を強めて言った。
甘やかすだけが教育じゃないからね。
その言葉を聞いた彼は、「はい、頑張ります」とだけ返事をして2周目に取り掛かった。響いてるのか響いてないのか、よく分からないな、相変わらず。
一旦彼はこれでひと段落ついた。後は、
「ぬぁぁんでだよぉぉぉ!!!」
彼の相棒をつまみ出そう。
流石に堪忍袋の緒が切れた。我慢の限界だ。
いつか本当にゲーム機器が壊れてしまう。
数分後、バトラーは簡単につまみ出され、るかさんから注意と出禁を言い渡された。
いつもなら何かしら言い返すバトラーが素直に従ったのは、荒垣優菜のおかげ(命令)だ。
そんな事情を知らない信楽るかはかなり困惑し、頭のパンクにまた一歩近づいた。




