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第44話 初見対応力

 今日から本格的に全身技能の講義が始まる。るかさんのことだ、どうせエグいことをさらっと要求するのだろう。俺も、佐久間達も身構えながら説明を聞いていた。


「ぼくね、戦闘するうえで一番大事なのは、力とか魔力量とか、センスでもなくてね、死なないことだと思うんだよね。じゃあここでクエスチョン!死なないためにはどんな能力が必要だと思う?剛君、何だと思う?」


「うーん、力がダメなら…耐える力か?」


力じゃないってさっき言ってただろ。

相変わらずっちゃ相変わらずだが、せめて力以外で答えろよな…


「あー確かにそれも必要かもね、拳闘士ならそれでもアリかもしれないけど、魔導士は残念ながら素の耐久が低いからね、ちょっと違うかなって思う。でも答えてくれてありがとね」


るかさんは間違いをすぐに「違う」と一蹴することもなく、答えてくれた人に感謝を述べた。

俺が通っていた学校現場でもこういうことはあったが、その時は不快感を感じていた。なぜだろうか、同じ先生(教授)でも、距離感が近いからなのだろうか?


「えっとね、これはあくまでぼくの考えなんだけど、死なないためには、攻撃を避け続ける能力、それに伴って初見対応力が必要になると思うんだ」


"洸平、あいつの言っていることは間違いじゃない。少しズレもあるが、俺達魔族でもそのように考えられているぞ"


バトラーはその場にいるが、講義中は基本的に念話で会話をしている。

バトラーがなぜ(勝手に)講義に参加しているのかというと、「人間の戦闘技術に興味があるから」ということらしい、既に十分な戦闘スキルを持っているにも関わらず、まだ上を目指そうとする姿勢は俺も尊敬している。


「じゃあこの講義で達成してほしい課題を発表するねー、大変かもだけど頑張ろー」


るかさんが"大変"という言葉を使った!?

悲報、学生全員の死刑が確定しました。

今までありがとうでした。


元絶対者に死ぬほど鍛えられた俺は「強者」になれなかった 完(?)


「ちょいちょい、勝手に終わらせないでくれる?そんな無理難題を言うわけじゃないんだから…いや本当だって!」


全員にジト目で見られたるかさんは慌ててそう答えた。この前大学周り10周(約40km)走らせたのはどこの誰だったかなー?


「課題って言うのは、この猫ちゃんの攻撃を1分間避け続けること、そして今ここにはないけど、色んなゲームをすることだよ」


「…は?」


猫?ゲーム?予想の斜め上の課題が提示され、全員がるかさんの言葉を理解できずにいた。バトラーも目が点になっていた。


「猫ちゃんについては、実際に受けてもらった方が早いかも、洸平君、ちょっと生贄になってくれない?」


生贄という言葉に引っかかりながら俺は前に出た。「分かってると思うけど、猫ちゃんに手は出したり、魔法を使ったりしたらダメだよ」と指示を受け、俺は軽く身構えた。

目の前に立っている猫は毛を逆立たせながらシャー!と威嚇した。

まあ、猫だし大丈夫だろう、仮に強かったとしても師匠よりはマシだろう。

30秒後、そんな甘い考えを打ち砕かれるとは、この時はまだ誰も知らなかった。

30秒後、俺の顔に引っ掻き傷が付いた。なぜついたのかと言うと、お察しの通りである。

この結果にるかさん以外が驚愕していた。俺は他の学生よりも多少優れている自覚はあった。

ましてや、この猫が()()()()()()()()なんて、一体だれが想像しただろうか。


「こういうこと、30秒避けきっただけでもすごいけど、1分は中々難しいと思うよ。でも、それを可能にするために、第二の課題、ゲームだよ」


さっきは言わなかったが、ゲームという言葉が発せられる度に、クラッシュがそわそわしている。入学式当初、そんなだったか?夏季休暇中に何があった?

るかさんは俺達を別の部屋に移動させた。指示された部屋に入ると、そこにはゲームセンターのような光景が広がっていた。


「見ての通り、ここには色んなゲームを置いてるよ。アーケードの格ゲー、音ゲー、恋愛ゲーム、神ゲーもあればクソゲーもある。アーケードの以外にも、昔あったテレビゲームから現代のゲームまで、大体は揃ってるんじゃないかな」


クラッシュが興奮した様子でるかさんを見つめて、


「るかさん、これ全部やってもいいの?」


「もちろん、でも授業の一環だってことは忘れな…」


「最高!神!」


るかさんの説明を待たずに行こうとしたクラッシュを俺は首根っこを掴んで静止した。

クラッシュはシュンとしつつも大人しくなった。


「えっと…ゲームをやるのはいいんだけど、二つ条件あるんだ。それは、一度もやったことがないゲームをすること。そして、負けイベント以外で一回でもゲームオーバーになればそのゲームは二度としない。何でかと言うと、最初に言ったように、これは初見対応力を鍛えるためだからだよ」


確かに理にかなってる…のか?いまいちピンと来ていないが、るかさんが言うと言うことは何か意図があるのだろう。


"これ、俺もやるのか?"

"バトラーはどっちでもいいんじゃないか?"


そんなことを言っているが、当の本人はすごく興味津々だった。やりたいなら素直にやると言えばいいのに。


「じゃあ各自始めてねー、講義終了10分前になったら教えるからそれまでにきちんとセーブするんだよ」


全身技能…とは?eスポーツの講義なのでは?

そう思わざるを得ない洸平であった。









補足

るかさんが連れていた猫、実は不動累の愛猫です。るかさんは何度も触れ合ったおかげで懐かれていますが、それ以外には常に敵意剥き出しです。

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