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第41話 呼び方会議

めちゃくちゃ遅れた。すみません。

「はい、忙しい中集まっていただきありがとうございます。これよりここにいる魔族、本名けんどうしの呼び方について議論をしていきたいと思います」


参加者、櫛塚洸平、荒垣優菜、清野三姉妹、不動塁、信楽るか、クラッシュ、嵐村佐久間、けんどうし(拘束中)。

一体何故こんなことになったのかというと、約1時間前まで遡る。


 体調が回復した俺は、師匠の家の掃除を手伝っていた。激しい運動は明日以降からとさくらさんに釘を刺されたため、全員で掃除に取り組んでいた。(さくらさんいつまでいるんだろう?)


「あ、けんちゃ〜ん、そこの洗剤取って笑」


「うおぉい!お前はそう呼ぶな、ぶっ殺すぞ!」


「ひっ、師匠ー、ソードがけんちゃんって呼ばせてくれないです〜」


もちろんそんなことを思っているわけではない。ただからかっているだけだ。ソードの反応を見たいがために。しかし、誤算だったのは師匠が俺の言葉をそのまま受け止めてしまったことだ。


「けんちゃん、洸平も呼んだっていいだろう?」


「ぐっ…いくら荒垣様とは言え、"けんちゃん"呼びだけは本当にやめてほしいです!」


「じゃあ、何と呼べばいい?」


「本名」


「「却下」」


「何でだよ!ってかさらっと洸平も返事してんじゃねぇ!」


「はっきり言おう、けんちゃん、君の本名である"けんどうし"という名前は本当にダサい。ソードも大概だが、まだマシだ」


そう、ダサいのだ。正直俺もソードという呼び方がいいとは思っていないが、本名と比べればマシな方である。というか、ソードと呼ぶように提案してくれたのは不動教授じゃなかったか?


「だったら、今から決めようぜ、双方が納得する呼び方を。それなら文句ねぇよな?」


「確かに…それならもう少し人数が必要だろう」


「「…えっ?」」


「さくら、今から来れる人はいるか?」


「うーん、奈々ちゃんと千尋ちゃんなら来るんじゃないかしら〜今は休憩タイムだろうから、息抜きにおいでって言ったら来るかも。特に千尋ちゃんは優菜ちゃんの大ファンだからね〜」


あれ?呼び方決めを始めることにも驚いたが、これ以上に人数を増やすのか?ガチすぎない?いやでもこれはこれで面白いかもしれない。


「では、私は不動あたりを呼んでみよう。どうせ夏休みの昼間だ.暇に決まっている。特に信楽はな」


「じゃあ俺は剛、佐久間、クラッシュを呼んでみます」


そうして、多くの人が集められ、今に至る。ちなみに何故ソードが拘束されているかというと、あまりにソードがうるさかったため、イラついた清野奈々准教授が施したからである。つまり、自業自得である。


「暫定として挙げられているダサい名前は、本名である"けんどうし"、"ソード"、そして"けんちゃん"です。他に意見がございましたらお聞かせください」


「洸平、やっと変える気になったの?遅すぎよ」


「よかった、洸平もちゃんとダサいって思ってたんだ」


「今更すぎるけどね」


「まあ妥当な判断じゃないかしら。まあ二つはシンプルにダサい、最後に関しては何か犬に付けそうな名前よ。元は魔族だっていうのに」


「「…」」


各々が発言していく中、一部の人間にはその言葉がかなり刺さっていた。その様子を見てるかさんがニコニコしながら発言した。


「そうだね、じゃあまず一つ、超シンプルに"ケン"ってのはどうだい?ダサいかな?」


「悪くはないけど…なんかゲームのキャラみたい」


「クラッシュ君、それを言ったらほとんどの名前使えなくなるよ」


「んっー!んんー!」


ソードが何かを言おうとしている。口をガムテープで抑えられ、閉じ込められた主人公みたいだ。


「けんちゃんよりはマシ!って言ってるね」


一同「何で分かるんだよ」


「うーん、長年の勘ってやつ?」


「るか、お前私と同じ27だろう。何が長年だ」


こんな調子で会議?は進んでいき、結局ろくな意見も出ないまま夕暮れになってしまった。

鴉たちが俺たちを馬鹿にするかのようにカーカーと鳴いていた。


「もう夕暮れだな、私はこれで失礼する。夜の任務に備えなければならないからな」


「じゃあーね〜洸平君、またお話ししようね〜」


「千尋、帰りは気を付けなさいよ。魔族にも人間にも、あんたを狙う男なんてゴミばかりなんだから」


「僕はまだ…」


「いくぞ、るか」


「ちょっとぉ!?累君引き摺らないで〜!あっじゃあまたねー!」


相変わらずの騒がしさのまま絶対者の方々は師匠の家を後にした。残ったのは同期の3人と師匠、そしてソードだけだ。


「ほら、お前達疲れただろ、あいつらに揉まれて。お茶でも飲んで落ち着かせろ」


いつの間にかお盆に人数分のお茶を乗せてソードがキッチンから出てきた。

師匠のご指導の後のメイド(笑)のおかげか、そういったことの手際が異常な程まで良くなっていた。


「緑茶…冷蔵庫にあったか?」


「茶っ葉が奥の方にありました。勝手に使うのはどうかと思いましたが、やはり疲れた時には緑茶が一番と思いまして…」


緑茶は冗談抜きで美味く、疲れた体に染み渡った。お茶を飲みながら千尋がポツリと呟いき、佐久間が尋ねた


「ほんと変な魔族。異質ね」


「えっと、ソードさん、どこでお茶の作り方を知ったの?魔族の世界にもあるの?」


「いや、ないぞ。自販機に売っている"お〜◯お茶"を飲んだ時感動してな、そこから学び始めた。人間の世界には俺達の世界にないもので溢れている。今は世界の国の名前を覚えている」


「…ソードはやっぱり人間っぽいよね。こうした気遣い7も何だかんだできているし」


「だな。私も多くの魔族と出会い、手を下してきたが、ここまで人間染みた奴は見たことがない。極めてイレギュラーだ」


みんなの会話を聞いて、何かが降りてきた。


「もういっそのこと"グリーンティー"とかでいんじゃないかしら?」


「この姿を見て、俺のどこにグリーン要素があるっていうんだよ!」


「…バトラー」


「「「「え?」」」」


「バトラー。こいつは好戦的な奴で、今みたいに気の利いたこともできる、まるで執事のように。"バトラー"はバトルする人と執事の両方の意味を掛けた名前だよ。もちろん厳密には発音が違うのだろうけど」


「バトラー…まあいいんじゃない?」


「悪くはないと思う」


「私も同感だ。後は、彼次第だな」


仮に自分たちがいいと思っても、こいつからの了承を得なければ意味がない。彼は少し悩んだ末に、


「バトラー、お前達の反応を見る限り変な意味ではないのだろう。バトラーか、いいだろう、そう呼んでも構わない」


けんどうしは正式に2回目の改名が決定した。人間染みた魔族、バトラーの誕生である。















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