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第4話 巣立ち

 「で、お前はその板川教授と手を交えたと」


どうも、櫛塚洸平です。俺は今、現在進行形で『ご指導』を受けようとしています。


「バカ弟子、私は出発前、お前になんて言った?」


「不合格なら殺す…ですか?」


「そっちじゃない、その前だ」


「ええっと、面接で変なことはするなよですか」


「そうだよな、覚えておきながら()()()ことをしたのか…覚悟はできているんだろうな」


「…はい」


この後、1時間ほど『ご指導』された。


 面接から2日後、ポストに一つの封筒が届いた。影夢学院大学からだ。

封筒を開けて見ると、すぐに『合格』の文字が目に飛び込んできた。

俺は安堵した。合格したということと、師匠に殺されずに済むということ、二つの意味で安堵した。


 その様子を私、荒垣優菜(あらがきゆうな)は物陰から静かに伺っていた。あの様子だと合格したらしい。


「おめでとう、洸平」


私は洸平には聞こえない声で祝福し、その場を後にした。


 合格発表から5日後、俺は3年間いた師匠の家を離れることとなった。

大学では寮生活となるため、しばらく師匠には会えなくなる。


「持ち物は全て持ったな?大学ははっきり言って変な奴しかいない。呑まれるなよ」


「はい、師匠に教わったことを胸に精進します」


「…そうだ、これは私からのささやかな餞別だ」


そう言って師匠は大量のお金が入った封筒を渡した。


「!!こ、こんな大金受け取れません!」


「うるさい、偉大なる師匠様が渡すと言っているんだ。弟子は弟子らしく素直に受け取れ」


「ああ、あと」と続けて師匠は俺の首からペンダントをぶら下げた。


「私が大学時代に使っていたものだ。これも持っていけ」


「いや、ですから…」


「弟子は弟子らしく?」


「…受け取ります」


半ば強制的に、大金とペンダントを受け取った。

ふと師匠の顔を見ると、どこか嬉しそうな、悲しそうな、色々な感情が入り混じった表情を浮かべていた。


「み、見んじゃねえ!ぶっ殺すぞ!」


ここまで取り乱す師匠を初めて見た。やはり、師匠は色々なことが壊滅的に不器用なだけで、本当は情に熱い人なのだ。


「あれ、師匠もしかして泣いてます?師匠でも泣くときは泣くんですね」


「…本当に殺されたいようだな」


あ、流石に煽りすぎたかな?え、ちょっと待って師匠戦闘体制に入ってるんだけど?いや構えないで?お願いします。

師匠の正拳突きが俺の腹にめり込んだ。

今まで受けた正拳突きで一番痛かった。


「じゃ、じゃあ俺もう行きますね」


「おう、行ってこい。たまには帰ってこいよ」


未だに痛みが残るお腹を押さえながら、第二の巣を後にした。


―とある場所―


「腹が減った…何か食い物がほしい」


ちょうど付近を歩いていた鳥型の魔族が目に入った。


「こいつも鳥だし、鶏肉の味がするのか?まあ食おうとは思わないが」



??が外に出れるまであと10日







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