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第29話 地獄再び

40℃超えの熱と格闘の末、無事勝利して参りました。しかし第2ラウンド、咳との戦いに現在奮闘中です。

約1週間空きすみません。

「これでどうだ?武器も置いた。これなら問題ないだろ?見逃してくれよ」


今まで私はこんな魔族を見たことがない。自ら丸腰になるということは、自らの首を差し出すことと同様だからだ。異質だと思った。


「…そうだな、見逃してやっても良かったかもしれないな。お前が人間だったらな!」


私は再び攻撃を仕掛けた。たが、この攻撃も当たらなかった。


「ちょっ…容赦なしかよ!?だったらもう逃げるしかねぇじゃねえか!」


その魔族は私に一切攻撃を仕掛けることはなかったが、とにかく素早かった。

やがて魔族は私の前に向けて水魔法を放ち、私の目を遮ったその一瞬で、姿をくらまし、取り逃してしまった。


「逃げられた…次はないと思えよ、青角野郎」


「…それがこいつ(ソード)なんですか?」


「あぁ。次会った時は絶対に殺すと決めていたのだが…こうなってしまっては手出しはできない。命拾いをしたなお前」


「全くだ。お師匠様には勝てる気がしねぇからな」


「…お前が師匠と呼ぶな。イライラする」


「じゃあ…アラユー(※荒垣優奈の名字と名前の頭2文字を繋げただけ)」


「やはりお前殺そう」


「なぜだ!?いい呼び名ではないか!」


「いや…」


そのダサい呼び方が原因だろ。自分の名前を『けんどうし』って付けてしまうあたり…ね?(魔族の名前は本人が決めるらしい)

言おうか迷ったが、師匠が意外にも満更でもない様子だったので黙っておいた。えっなんで満更でもないの師匠?


改めて部屋に入り、3人は椅子に腰をかけた。

大学の出来事や新たにできた友人についての話をしているうちに、講義の話になった。


「そういえば洸平、魔力実用実習基礎は履修したのか?」


「いいえ?それもどうやら不定期開催らしくて、先輩の人でも受けている人がいないって聞いたことがあります。それがとうしたんですか?」


「…不定期開催?」


師匠の顔が険しくなった。あれこれ地雷を踏んでしまっただろうか。いや受けられないものは仕方がないよな?

すると、師匠はおもむろに立ち上がり


「洸平、外に出ろ。()()()()で稽古をつけてやる」


その瞬間、あの地獄の日々が脳内にフラッシュバックした。毎日死にかけたあの稽古を…

みんな、俺生きて帰れないかもしれない。


「おいアラユー、それ、俺も同行していいか?」


「同行するのはいいが…お前のような魔族にとっては容易いことだと思うぞ?」


「これでも俺は魔力操作は苦手な方だ。それに、人間の魔力操作のやり方も気になるからな」


「好きにしろ」と言って師匠は先に扉を開けて外に出た。


 とある墓石の前に、花束と掃除道具を持った嵐村佐久間の姿があった。

彼は花束を掃除の邪魔にならない場所にそっと置き、掃除を始めた。


「父さん、母さん、ただいま。この前の正月以来だね。…あのね、俺大学に合格したよ。ちょっと特殊な大学だけどね。そっちには剛もいたし、新しい友達もできたから、まあ楽しく過ごせてる。前期日程が終わったから顔を出したんだ」


佐久間は一度言葉を区切り、ほんの少しだけ語気を強めた。


「兄さんの行方はまだ分からないけど、絶対に生きてる。父さんと母さんの仇は、絶対に取るから、もう少しだけ待ってて」


最後に花束を添え、合掌をした。


「それじゃあ、また来るね」



寮の中で、クラッシュは一人で最近流行りのゲームをしていた。当然トレーニングは欠かさずやっているが、こういったものには目がない。


「このゲーム、基本は逃げるだけだけど、目的のために逃げてるよね。ストーリーもいいし、人気になるよね…それに比べて僕は…」


そう独り言を呟きながら、クラッシュはゲームを続けた。






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