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第26話 単位

最近にしては短いかな?

 魔導基礎論の試験の内容は、殆どが講義で出たものであった。しかし、それも黒板に書いたことというよりは、口頭で説明したものばかり。この大学には教科書が配布されないため、復習するには自分でノートを作るなどのことをしなければいけないだろう。

試験が始まり30分が過ぎた頃、ソードが清野奈々准教授に耳打ちをしていた。内容を聞いた彼女の顔はみるみる険しくなった。

その後はというと、二人の学生が講義室からつまみ出されていた。俺よりも後ろの席にいた学生だったためその様子を見ることはできなかったが(見たらきっと俺もカンニングと見なされる)、おそらくカンニングか何かだろう。

あの一件以外特に問題なく試験は終了した。俺は気になったためソードに何があったのか聞いた。


「視覚共有魔法の魔力が流れたんだよ、気づかなかったか?」


「…俺は魔力すら感じなかったけど」


「ん?あぁそうか、人間はそこらへんは鈍いというからな。俺達の世界では空気と同じくらい魔力が当たり前のように充満しているからな、察知能力は長けているんだよ」


「あともう一つ、特定の魔法の魔力って何?魔法を放つための魔力は全部一緒じゃないの?」


魔法にとって魔力は電池や電気みたいなものだ。元は同じはずなのに、なぜソードは視覚共有の魔法と分かったのだろうか?


「確かに、魔法を放つための魔力は同じだ。だが、魔力っつうのは魔法を発動しようとした瞬間から、その魔法を放つための特定の魔力へ変換されるんだよ。これができる魔族は少数だと思うぞ」


「じゃあ何でソードは出来るんだよ?」


「うーん、経験とセンスだな。やっぱり」


ソードがしばきたくなるようなドヤ顔を披露しながら答えた。聞けば聞くほどソードが高スペックお化けに見えてくる。


「…魔力がない人間」


上のベッドで横になっていたクラッシュがポツリと呟いた。


「魔力がない人間は探知しづらいの?魔族は魔力探知には長けているけど、気配察知を察知しているわけではないと思って」


「考えたこともなかったな、魔力を持たない魔族なんて存在しないからな、赤ん坊ですら微量の魔力を持っているし」


「そういえばクラッシュはテストどうだった?」


「多分大丈夫。剛がちょっと危ないかも」


「まじ?落単する?」


「結果を待つしかない」


成績が発表されるのは早くても3日後。正直俺はかなり自信があるため、名前を書き忘れたといった初歩的なミスでもしていない限り落ちることはないと思う。


「あ、そうそう、不動教授の講義、次で最後だよ。補講とかもないっぽいから洸平はもしかしたら落とすかもね」


「え?確認試験…あっ」


この講義は毎回の小テストで評価を行う。最終試験は行わない。

確かこんなことを言っていた気がしないでもない。


「洸平が捕まってたあの日も全部講義があったからかなり減点されてる。復帰した講義も洸平殆ど解けてなかったし」


もっと言えば、復帰した後はなぜか講義数がガクッと減った。これ、結構まずいかもしれない。


「…祈ります。落としてたらその時です」


少し思い空気(俺だけ)を断ち切るようにソードが大きく咳払いをして


「終わったことを悔やんでも仕方がねえよ。今を見ろ今を。今は格闘術を極めることに集中しておけばいいんだよ」


「…それもそうだね。悪いな気を遣わせて」


「?何のことだ?」


「え?」


「え?」


クラッシュがクスりと笑った。

あれ、これめっちゃ恥ずかしいやつか?

幸いソードもよく分かっていないようだったのでセーフだ、セーフ。

 3日後、成績が発表された。結果は不正をした二人以外全員合格、剛もギリギリの合格で大喜びしていた。ちなみに、不動教授の講義、滅魔基礎論も単位が所得できていた、かなりギリギリだったが。

これ以外にも座学講義があったが、それも全て単位が取れていたため、必修科目の座学はなくなった。

これからは全て実技の講義だ。

影夢学院大学の本領はここから。実技は単位を落とす人もかなりいると聞く。

俺達はやっとスタートラインについただけで、大学の講義はここからが本番なのかもしれない。



体動かすだけの大学ってあるのかな?

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