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第1話 入学試験

 2085年、人間と魔族は対立関係にあった。

互いに殺し合い殺され合う、そんなどろどろの関係が続いていた。

そんな中、人類はそんな魔族に対抗するべく、多くの技術技能を習得し、政府は『滅魔隊』を設立。今日も夜な夜な力を持たぬ人のために戦っている。


「ついに、この日がやってきた。3年か、たくさん死にかけたけど、俺は強くなったんだ!」


「何アホなこと言ってんだバカ弟子、私が教えたことはすべて基礎中の基礎だぞ?たかがこの程度で強くなったなど笑わせるな」


「・・・師匠、そういうことは今言わないでほしかった」


「実際事実だからな。だが、()()()(しかばね)のような様子だったお前がこの修行に耐え抜いたことは褒めてやってもいい」


「師匠の口からお褒めの言葉!?明日は雪に雷でも落ちるんですかね」


「ひっぱたくぞお前」


このやり取りも3年間で何度もやってきたが、今となってはいい思い出だ。コホンと咳払いをして師匠は続けた。


「とにかく、入学試験はいつもどおりを出せれば合格できる。特に面接の時、変なことはするなよ?」


「任せてくださいよ」と返事をし、会場へ向け歩みを始めた。歩いて数メートル歩いたところで、「洸平」と呼ばれ振り返ると、


「不合格になったら殺す」


そう言った師匠の目は一切笑っていなかった。この人本気で殺すつもりだ。

俺は聞かなかったことにして会場に早足で向かった。


 申し遅れたが、俺は櫛塚洸平(くしづかこうへい)()()()卒業後に師匠のもとで3年間修行をした。俺は今から影夢(えいむ)学院大学の入学試験に臨もうとしている。

この大学は、日本で唯一魔族を倒す術を学ぶことができる学校である。

影夢学院大学の卒業生の殆どは滅魔隊に配属される。

 この大学の試験は筆記試験と面接の二つに分けられ、筆記試験は中学校レベルの問題、面接という名の対面式の実技試験なのである。

午前8時から筆記試験がある、まずはそれに集中しよう。

 筆記試験は中学校レベルといわれていたが、予想以上に拍子抜けであった。

なんせ、問われた問題は日本史、簡単な計算問題のみで、小学生でも満点が取れるのではないかと思わされるぐらいであった。

それだけ『面接』に力を入れているのだろう。

師匠は「いつもどおりが出せればいい」と言っていたが、いまいち腑に落ちなかった。

しかし、あんな脅迫(しんらい)を向けられておきながら、不合格の通知を持って帰って来ようもんなら間違いなく人生が終わる。

俺の勘がそう言っている。

合格か不合格か、面接の出来次第で決まる。

俺は覚悟を決めた。


 ―一方、とある場所にて―


「ちっ、しくじったぜ、こんな場所に閉じ込められちまうなんてな…誰でもいいからとっとと出せぇぇぇ!」


一人の叫び声が虚しく響き渡った。



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