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世界の転換点・序

おはようございます。初投稿です。文に関しても、物語に関しても初心者です。

何か至らない点がありましたら遠慮なく伝えてください。

特に物語の構成が不安なので指摘してもらえると喜びます。

どうぞよろしくお願いいたします。

父様が死んだ。

誰よりも強く、優しく、誇りを持っていた父様が。


母様が死んだ。

誰よりも慈悲深く、時に厳しく、愛してくれた母様が。


ぼくには何もわからない。結果以外、何も。

どうしてこうなったのか、過程など、わかるはずもない。

理解できない。理解したくない。知りたいなんて思わない。知らないほうが幸せだ。


しかし、忘れることなどできない。

かといって、思い出したくもない。


もう、生きる意味もない。

それでも、死にたくはない。


ならば、どうしようか。

どうすることもできない。


なにもない。

なにも、なくなった。


「そうだね」


「無い」


「君にはもう、何もない」

─────────────────────────────────────

その日、少年は自らのほとんどを失った。愛する家族、安心できる我が家、愛してくれた家族。

生きる意味、死ぬ意味。


しかし、少年ははすべてを失ってはいなかった。才能があった。何の因果、皮肉だろうか。


少年は、”虚無”を手にした。


今更力を手に入れたところで、振るう相手も、守る仲間もいない。

この力を手に入れた意味は


「無い」


そう思っていた。

─────────────────────────────────────

SS暦1430年、ノクシス王国に存在する貴族、ヴェイル家で、一人の男の子が生まれた。

彼はノアールと名付けられ、父、ダリウス・ヴェイルと母、セラフィーナ・ヴェイルに深く愛されて育った。彼は幸せだった。この世に生まれてきたことを幸福だと思っていた。


しかし、彼は知らなかった。幸せに目がくらんでいた。それは両親も同じだった。見ないふりをしていた。束の間の自由に浸っていた。

─────────────────────────────────────

戦争があった。ヴェイル家は、国境に位置している。真っ先に狙われるのは道理であった。しかし、なぜかヴェイル家には武力が少なかった。国へ増援の申請をしても援軍が来ることはなかった。

そんな状況であっても、ノアールは笑顔だった。このまま幸せな生活が続くと思っていた。


彼は何も知らない。

知識がないわけではない。彼は状況を把握できていなかった。戦争が起きたことなど子供の耳に入れたところで意味はない。ただ不安がり、絶望し、悲しむだけだ。

彼の両親は残酷な真実を隠すことを選んだ。


今となってわかるのは、”あれ”が仕組まれた必然だったことくらいだ。

だからといって理由に興味はない。復讐になど意味はない。


しかし、少し不思議なことがある。なぜ僕は生きている?両親は殺され、僕にかかわる者も皆殺されてしまった。

それが、それだけが少し気になる。

─────────────────────────────────────

「おはようございます。ノアール様」


「ああ...おはよう」


彼女は僕のお付きのメイド、クロエ・ヴェスパー。

ヴェスパー男爵家の次女として生まれ、今はメイドとして僕の従者をしている。


”あれ”があってから、僕はヴェイル家の親戚であるエクリシア侯爵家に養子として迎え入れられた。

最初は周りから憐みや奇怪なものを見るような目を向けられることが多かったものだが、今では恐怖がこもった目でしか見られることがなくなった。少し遺憾である。魔法の研究をすることがそんなにおかしいことか。


しかし、クロエは距離を置くことはなかった。


なぜかは知らない。彼女は俺を怖がらなかった。それだけだ。


僕はこの家に来てからほとんど外に出ていない。家の書庫にこもってばかりいる。

僕には力が必要だ。僕を狙う、何かから身を守るために。

魔法を極めるためには、知識が必要なのである。


”あの時”のことを考えると、今でも怖くなる。でも、必要なことだ。

自分だけが生き残った。誰が聞いてもおかしい話だ。そもそも隣国のヴェルミリオン連邦との関係はそこまで悪いわけではなかったはずだ。戦争は、本当にあったのか?


...まあ、今の僕には関係のない...


「ノアール様、アストリウス様がお呼びです」


「...わかった。すぐ行こう」


当主様が?いったい何の用だ...

不思議に思いながらドアをノックする。


「入れ」


「失礼します。お呼びでしょうか、お義父様」


「そうかしこまるな。私たちは親子なのだから」


エクリシア家では子宝に恵まれず、ようやくできた子も女ばかり。これでは当主を継ぐ者がおらず、家が没落してしまう。

思えばそれも僕を養子に迎えた理由の一つであるのだろう。


「三日ほど前、子が生まれた。男の子だった」


「‼...そうですか、おめでとうございます」


まあ、この時点で何が話したいか予想はできる。


「私が話したいのはそのことだ。我が家で男が生まれたということは、その子に当主を継いでもらわなければならないということだ」


「はい」


「その場合、お前をどうするかという話だが、お前を魔法騎士学校に入学させることになった」


「はっ?」


魔法騎士学校といえばヴェルミリオン連邦にある超実力主義の、学校とは名ばかりの狂ったやつしかいない頭のおかしい場所...


「...本気ですか?お義父様」


「ああ。本気も本気。お前の実力ならばやっていけると信じての決定だ」


冗談じゃない。僕はこのまま一生引きこもって僕の力を研究したいんだ。そもそも、そんなところに入学させずとももうちょっとマシな選択肢あっただろ!

─────────────────────────────────────

こんなことになるなら力なんて…


いや、ダメだな...僕は...


僕は一か月後から入学する手筈になっている。


「はぁ...」


鬱だ。


なんだって僕があんな所に行かなくちゃならない。僕は研究がしたいだけなのに。


大体僕があんなところでやっていけるわけないだろう。当主様は僕の力について何も知らないはずなのに。何をもって判断したんだ?


そもそもこの家には僕以外にも魔法の才能を持つ人間はいるだろう。僕なんかよりそっちを入学させたほうが後々ためになるだろうに...


「なんで僕なんだよ...」


はぁ...

もういっそ開き直ってしまおうか..

─────────────────────────────────────

そういえば、僕のほかに魔法を使っている人を見たことがない。魔法騎士学校に入学したらたくさん魔法が見れるなあ。

...そうだ。他人の魔法を研究するんだ。僕は生まれてこの方僕以外の魔法を見たことがない。


「そうだ。それだよいいじゃないか!」


開き直ったったおかげで今までありそうでなかった発想が浮かんだ!

開き直るって最高だな。

ここまで読んでくださりありがとうございます。

物語の矛盾や辻褄が合わないところがあればご一報ください。

できる限りミスはないようにしていますが、どうかよろしくお願いします。

次回も楽しんでいただけるよう全力で執筆させていただきます。

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