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すきなだけじゃだめですか?  作者: 遠藤 敦子
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 「はじめまして、古澤歌乃(ふるさわうたの)です。大阪から来ました。初日で緊張してるんですけど、よろしくお願いします」

 古澤歌乃と名乗る女子転校生が挨拶した。彼女は160cmくらいでスラッとしており、鎖骨くらいの長さの髪を下ろしている。女優の浜辺架純だか誰かに似ているような雰囲気だ。周りからは

「可愛い! 顔ちっちゃ!」

「女優の浜辺架純(はまべかすみ)ちゃんに似てる」

といった声も聞こえてくる。

「みんな仲良くしてやれよ。それじゃあ古澤さんは、水谷(みずたに)の隣に座ってもらおうか」

 中島先生は彼女に僕の隣に座るよう指示を出した。隣同士になり、僕は

「水谷侑也です。よろしく」

と自己紹介をする。それから授業が始まったけれど、彼女は教科書がまだ届いていないとのことなので、何度か教科書を共有して使った。


 学校終わりにバス停でバスを待っていると、古澤にばったり会ってしまう。そこで少し立ち話をした。

「古澤さー、なんでこの時期に転校してきた?」

僕が興味本位で訊くと彼女は

「お父さんは中2の時に病死して、お母さんは事件起こして捕まって……。それでおばあちゃんと暮らすことになったの」

と話してくれる。そんな事情があったなんて知らず、僕は興味本位で訊いたことを恥じた。

「あ、ごめん、こんなこと訊いて……。古澤も辛い過去があったんだな……」

僕が謝ると、古澤は気にしないでと笑っていた。



 翌日、僕は昼休みにいつものように屋上でギターを弾く。誰にもギターを弾いているのを見られたくないので、屋上に来ていた。そのとき屋上の扉がガチャっと開く。古澤が屋上に来た。

「古澤、お前なんでこんなとこに……」

僕が言うと、

「別にいいじゃん、景色見たかっただけだし」

と返ってくる。

「それより水谷くんってギター弾けるの?」

古澤は目を輝かせて言う。やばい、ギター弾いてるの見られた。僕は恥ずかしくなった。誰にも見せるつもりは一切なかったのに。

 古澤にギターの弾き方を教えてほしいと頼まれ、僕は基礎からレクチャーする。古澤は大阪の高校に通っていた頃の音楽の授業で少しだけギターを触ったことがあるけれど、1年以上前のことなのでブランクがあるそう。音楽の授業の復習がてらのレクチャーだった。

 さらにギターの弾き方を自分でも学びたいとのことなので、僕は自分のスマートフォンでおすすめのYouTubeをいくつか紹介する。YouTubeのURLを送る口実で古澤とLINEを交換し、いくつかURLも送っておいた。


 

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