観覧車 回れよ回れ 思ひ出は
初めて投稿します。
中2の時学校の授業でかいたやつです。なので恥ずかしい出来ですが、よろしくお願いします。
栗木京子さんの、「観覧車 回れよ回れ 想ひ出は 君には一日 我には一生」という、素晴らしい作品にインスピレーションを得て書かせていただきました。
みんなが楽しみにしていた修学旅行も、もう最終日だ。楽しい時間はあっという間というのは本当らしい。
最終日はやっぱり修学旅行といえばの、遊園地。
私はいつもの六人でまわっていた。
遊園地に着いたときはこれで終わりかと、少し寂しくなったけれど、そんな気持ちもふっ飛ぶくらい楽しんだ。おかげで最終日まであっという間だ。
「ねぇ、最後はなにに乗る?」
咲喜がみんなに聞いた。
「えーもう最後か」
海斗が呟く。本当に早かった。
「やっぱり最後はあれだろ」
拓真が指差したそれに、みんな賛成した。
「そうだね」
みんなでそこへ向かった。
そこにつくと、担当らしきおじさんに花菜がすぐに話しかけた。
「すみませーん。乗っても大丈夫ですかー?」
するとおじさんは私たちを見て申し訳なさそうに言った。
「ごめんねぇ。今、コロナがいるでしょう。そのせいで一つのゴンドラに乗るのは二人までにしてもらっているんだよねぇ。ほんとごめんね」
そう、この修学旅行も、最後まで中止にするか検討されていたらしい。それでも、一生に一度の体験をさせてあげたいと、そう判断してくれた先生方には感謝しないといけない。
けど、コロナがもっとひどくなったら来年の子たちは…
「えぇー、みんなで乗れると思ってたのにー」
咲喜は口を尖らせる。
「ほんとにごめんねぇ」
おじさんはずっと申し訳なさそうに頭を下げている。
「仕方ない、二人づつわかれるか」
「じゃあ、いつもの」
拓真が言うと、みんな準備した。
「グーチョキパーで、わっかれっましょ!」
なんと一発でわかれた。
右斜め前に私と同じ形の手がある。
この手は―
顔をあげる。私と目が合うと楓は笑って、
「よろしくな、杏子」
と言って、手の形を変えずピースした。
私は声がうまく出せず、
「よ、よろしk…」
と言ってる間に楓は
「んじゃ、俺ら一番なー いこうぜ杏子」
と言って私の手を引っ張って乗り場へ走った。
「もう修学旅行も終わりかー。楽しかったな、ほんとに楽しかった」
「そうだね」
私はそう答えるのが精一杯だった。楓のことを見ることもできず、落ちていく太陽をただ眺めていた。
「好き」
私がそう伝えられるのは、この観覧車が何周回った頃だろうか。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
いつか楓くん側も書いてみようかと思います。