番外編9.黒木 零①
わたしは、いろいろ悪いみたいだった。
『どうして分からないの?』
しらない。
『空気読んでよ』
よめない。
『ちゃんと聞いてる?』
きこえない。
ちゃんと見ようとしても見えないし、聞こうとしても上手く聞こえないから、わたしはつまんなくなって、それをサボりはじめた。
すると、世界がとってもかんたんに見えた。
『にんげん』は、音を出しながらあるく。
『まま』は、いたい。
『そら』は、くらいのとあかるいのがある。
『こんにちは』
……これは?
『だれ?』
『パ……いや、『りく』だよ。』
『りく……』
また新しいのができた。
『りく』は、何だろう。
りくはしゃべる。
『れい、お前は今日から俺のモノね』
『?……うん』
『れいも、誰かをモノにするんだよ』
『りく』は、わたしをモノにするひと。
『わたし』は、だれかをモノにする。
……うん。
『……わかった』
『わたし』についてわかって、うれしいな。
『わたし』って、だれかをモノにするひとなんだ。
『あっ』
わたしがゆかにころんだのを見て、近くのにんげんがしゃべった。
『いちのせれいです』
『……?』
わたしはなにか言おうと思って、教えてもらったことばを言った。
すると、にんげんはふしぎそうなかおをする。
『痛くないの?』
『痛いよ』
『うわ、血が出てるよ』
『ほんとだ……やだなぁ……』
さいしょは、きたなくてやだなと思った。
けど、だんだんわたしがいたいことに気づいて、なみだがでてきてしまった。
……そのひとは、『いちのせりん』というみたい。
『いちのせ』が同じだねって言っていた。
じゃあその『りん』は、何だろう。
『……じゃあ、れいのモノは僕にしてよ』
……『りん』は、わたしのモノになった。
『黒木!』
『……いちのせだよ』
『うわ、また言ってる』
学校は、面倒くさくなったから行かなくなった。
『授業中』はつまんないし、『休み時間』はうざい。
『ダメだよ、れい』
でも、りくはダメだって言う。
仕方ないから、学校に行った。
『えー…黒木!ちゃんと授業を受けなさい!』
でも急に、凄くめんどくさいのが現れた。
『黒木!』
『黒木れい!』
『教科書24ページ!黒木!』
あんまりうるさかったので、私はその人の前に行っておなかを蹴った。
『れい、校長先生を蹴っちゃダメだ』
すると、りくにそう言われて、私は違う学校に行くことになった。
『コネだけどね』
『……コネ?』
そのコネの学校は、ちょっと家から遠くてめんどくさかったけれど、何回か知らない人と練習して、行けるようになった。
……はじめまして。
そのコネの学校で、しきと出会った。




