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僕と彼女の歪んだ『愛』とその日々  作者: センセイ
第二章
44/50

番外編4.小野寺 香澄

あたしは孤独だった。


士郎さんは何もしてくれないし、さっちゃんはどれだけ言っても自分勝手。


あぁ、また『失敗』してしまう。

さっちゃんがどうにかなって、怒られるのはあたしなんですからね。

洋子さん、あたしにはキツいから……。


……ねぇ。

あたしが責められてる時、士郎さんは何も言ってくれないよね。

ほんとに気付いてないの?

あんな目の前で、大きな声であたしを責めるのに。

どうしていつもあんなに普通で居られるの?


それとも、あたしが悪いって訳?


『お母さん、チョコ買ってよぉ』

『ダメよ、最近お菓子食べ過ぎでしょ?』


ほんと、あたしだけが悪者みたい。


士郎さんは何も言わないから、私がちゃんと怒ってあげなきゃ、いけないのに。


さっちゃんも、ちゃんとしてあげなきゃ、……もう二度と、失敗しないように。


『もしもし?』


そんな時、学校から電話があった。

どうやらお兄ちゃんが、学校でトラブルに巻き込まれたみたい。


『すみません、うちの息子が……』

『いえいえ……うちの子も大丈夫って言ってますから』


聞くに、お兄ちゃんの友達が、女の子にお兄ちゃんに暴力をするように命じていたらしい。


『すみませんでした』


真摯に謝る本人には申し訳ないけれど、そう謝られなくても大事にするつもりはなかった。


お兄ちゃんまで何かあったら、また洋子さんに言われる。

……あたしはそれを耐えられないから。


『本当にすみません……』

『いえいえ、本当に大丈夫ですから……』


同じ言葉を何度も聞くより、早く帰って夕飯を作っておきたい。


士郎さんは夕飯時にリビングに来て「まだか……」って顔をして急かすように居座るし、さっちゃんは「お母さんまだー?」なんて言う割にご飯が出来ると「これあんまり好きじゃない」って言ったりする。


ほんと、普通にできるのはお兄ちゃんくらい。


……そっか。


考えてみれば、お兄ちゃん……しきって、かなりいい子よね。


そういえば、洋子さんの話が長引きそうな時は、しきが決まって「母さん買い物は?」なんて言ってくれたりしてたっけ。


……もしかして、


もしかしてしきは……しきだけは、あたしの事、分かってくれたり……。


『ねぇ、お兄ちゃんは?』

『お友達の所じゃない?』

『えっ……でも、お兄ちゃんが夜ご飯居ない事なんて……』


さっちゃんが言いかけた時、


『しきは、』


士郎さんが口を開いた。


……え?何?

辞めてよ、もしかしてしきは士郎さんの味方な訳?

……そんな事を思っていたら、


『しきは……出ていったよ。……今は叔父さんの所に居る』


と、士郎さんは言った。


『えっ?!何で?!お兄ちゃん何で?!』

『さっちゃん、食事中に喋っちゃお行儀悪いでしょ!』


騒ぎ出すさっちゃんを牽制して、あたしは聞いた。


『お父さん、ちゃんと知ってるのよね?』


……ちゃんとしきが居る所。


『あ、あぁ……』


……なら大丈夫。


『そう。……あっ、どこ行くのよさっちゃん!』


しきはきっと、あたしの為に帰ってきてくれる。

だってしきは、たった一人のあたしの理解者なんだから。

それまで……あたし、頑張ってみるから。


ねぇ、しき。

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