ボス蛟(みずち)戦2
僕はもう一度ボス蛟に向かって蒼炎3連発を唱える。
その内の一発が「頭に当たる!」と思った。
当たる瞬間にボス蛟は頭を後ろに引き、自分の尾っぽで頭を守った。蒼炎の有効範囲内に頭は入らなかった。当然尻尾は白い灰になったけど。
【ガァァーー!】
唸り声をあげるボス蛟。このまま押し込みたい。蒼炎を詠唱しようとした時、ボス蛟は僕に向かって突進してきた。
まずい当たる。そう確信した。
周りがスローモーションで流れる。あ、ヤバい。
右の視界の端から何かが飛び出した。それはミカだった。
ミカはボス蛟の頭を横からシールドを叩きつけた。ボス蛟の突進の軌道がズレる。ギリギリ僕には当たらなかった。
ボス蛟とのすれ違い様、蒼炎の詠唱を唱える。
【焔の真理、全てを燃やし尽くす業火、蒼炎!】
僕の前方15メトル前で蒼炎は完全にボス蛟の頭に直撃した。
全体の半分は黒焦げか灰になっている。ボス蛟は動かなくなっている。やったのか?
いつでも蒼炎を詠唱できるように体勢を整えてボス蛟の身体が消滅するのを待つ。とても時間が過ぎるのが長く感じた。
たぶん10秒ほどだったんだろう。ボス蛟の身体はダンジョンに吸い込まれていった。
横にはいつのまにかミカが立っていた。
初めての強敵だった。一歩間違えてたら死んでいたかも知れない。
何かそれも現実的に考えられない。ミカに助けてもらった。
「ミカ、ありがとう。助かったよ」
ミカは笑顔で言った。
「アキくんがやられると私はどうしようもないでしょ。ボス蛟にも勝てないし、こっから帰ることもできないのよ」
あ、そうか。確かにミカだけだと攻撃力が足りないや。改めて思った。ミカはいつもそんな恐怖の中でダンジョン探索しているんだ。ミカが死んでも僕は助かる可能性がある。僕が死んだらミカも死ぬ。そんな関係だったか。
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