水宮のダンジョン攻略スタート
リビングでくつろいでいるミカに話しかける。
「水宮のダンジョンの攻略をしようと思うんだけど、ミカに相談があるんだ」
「何かしら?」
ミカは読んでいた雑誌を横に置いて僕をみた。
「この間水宮のダンジョンについて考えてみたんだ。B級ダンジョンの水宮のダンジョンは7階層と言われているよね。一層3キロルとしても片道21キロル。往復で42キロルもある」
「考えただけで長いわね」
「沼の主人ダンジョンのように走り抜けることは不可能だと思うんだ。蛟のスピードが速いからね。そうなると蛟と戦いながら40キロル以上を進まないといけない」
「それなら無理だわ。体力がもたないわよ。一つの階層を警戒しながら蛟と戦って行くと1刻くらいかかるわね。ボス部屋まで7刻よ。帰還するまで丸1日超えるわ」
「新たなパーティメンバーを募ったらどうかな?」
ミカは眉間にシワを寄せ考えている。
「人を増やしてもダンジョン内で眠るような休息は取れないわ。意味が無いと思う。それにアキくんと私とのレベル差があり過ぎて戦力にもならない」
「やっぱりミカの意見も新たに人を入れるのは反対か」
「長い目でみれば賛成よ。人が増えればそれだけアキくんを守れるようになるから。レベルは上げてあげれば良いしね。でもアキくん、来年から王都の魔法学校に通うんでしょ。冒険者活動も3年から6年は空いちゃうよ」
「学校生活中は長期休みでダンジョン活動する予定なんだけどね。取り敢えず新しいパーティメンバーについては保留にしようか」
「それなら水宮のダンジョンの攻略も保留だね」
僕は得意げに言葉を発した。
「実は僕とミカの2人だけで攻略する方法を思いついたんだ」
「2人で!?やっぱり無理じゃない?」
「ダンジョン内でしっかりと休憩をする方法だ」
「ダンジョン内では安全な場所なんてないわ。常識でしょ」
「ボスモンスターを倒した後のボス部屋はどう?」
「!?」
びっくりしたミカの顔を眺める。
「ボスが復活するまではボス部屋にモンスターは現れないよ。半日ほどかな。そこで睡眠をとってから帰還すれば上手くいくかもしれない」
「理論的には可能かもしれないわ」
「ただ危険性もあるんだ。まずは水宮のダンジョンの下層で逃げなければならない魔物が出た場合、引き返すだけの体力が無くなるかもしれない」
「確かに6階層から引き返すと往復で10刻になるわね」
僕は説明を続ける。
「本当に一層が3キロルかどうかもわからない。その他はボス部屋でボスが復活するまで本当に半日なのかもわからない。わからないことばかりなんだよね」
「でも成功する可能性もあるのよね」
「まぁそうだね。机上の計算だけどね」
「アキくんがその話を私にしたって事はやりたいって事でしょ」
「そうかな。そうかもね。ミカのほうが僕のことわかってるのかもしれないね」
「私達は冒険者よ。冒険者は冒険してなんぼでしょ!やりましょう!私達の足跡を残してやりましょうよ」
ミカは明るい顔を僕に向ける。
こうしてこの日僕たちは水宮のダンジョン攻略のスタートを切った。
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