封印守護者の悲願
「封印ダンジョンの制覇…。封印守護者の悲願」
僕はボソっと言葉を漏らす。その言葉を聞いてシンギの目が驚愕して見開いた。
封印の守護者、封印ダンジョンの秘密か。Aランク冒険者にならないと教えてくれないってウォータール公爵家で言われたな。
僕はゆっくりと口を開いた。
「僕はウォータール公爵家の宗主から封印ダンジョンの制覇を頼まれております。Aランク冒険者になった時にその理由を話してくれると言う事でした」
考える様子でシンギは言葉を発した。
「ウォータール公爵家宗主のセフェム・ウォータールが封印ダンジョンの制覇を依頼する!?そこまでなのか…」
数秒考えていたシンギが質問してきた。
「教えて欲しい。アキ殿が使う蒼炎の魔法とはそれほど凄いものなのか?」
「自分でいうのもなんですが桁違いの破壊力があります。危なくてダンジョン外では使えないですから」
その言葉を聞いたシンギは目を閉じた。数秒ほど経ち大きく息を吐き出した。
僕の目を見て喋り出す。
「分かった。こちらの要望は取り下げる。今のままで良い。ただ一つお願いがある。アキ殿にはAランク冒険者になって封印ダンジョンを制覇してもらいたい。その為ならファイアール公爵家が全力でサポートさせてもらう。頼みを聞いてもらえないか」
「そう言われてもすぐにはできませんし、しっかりとした約束はできません。Bランクダンジョンは危ないですから」
「時間はいくらかかろうと問題ない。私もアキ殿にかけてみる事にする。よろしく頼む」
話が急展開過ぎて頭がついてこない。まぁ期限を区切られたわけではないから良いか。
「私は来年から王都の魔法学校に通おうと思っております。ダンジョン活動もセーブするようになりますので、その辺はご了承お願いします」
「それで問題ない。本当によろしく頼む。それなら今日の話し合いはこれで終わりだな。ファイアール公爵家は今後こちらからアキ殿に干渉する事はない。ただしアキ殿がファイアール公爵家に力を貸して欲しい時は全力でサポートさせてもらう。以上だな」
シンギは立ち上がり、僕の前に右手を差し出した。僕はその手を握り返して握手をした。
シンギの顔はなぜか憑き物が取れたような顔だった。
ギルド長にお礼を言い冒険者ギルドを後にした。
懸案だったファイアール公爵家との話し合いも恙無く終わった。それは安心した。
封印ダンジョンの制覇と封印守護者の悲願。
いったい何があるのだろう。急に態度を変えた父親。
Aランク冒険者にならないと分からないのか?少し本腰を入れてダンジョン制覇を目指してみようかな。
その後2日間、ミカとボムズ観光を楽しんだ。地元であっても今までお金がなかったから行った事のないところばかりだった。
住んでいた時は気が付かなかったけど、結構良い街なんだな。
アクロに出発する日に冒険者ギルドに挨拶に行った。残念な事にインデルさんはいなかったが、よろしく伝えてくださいと言って出てきた。
アクロまでの10日間。ずっとミカと肌を合わせた。ボムズ遠征を越えて、ミカとの関係性が大きく変わったのを感じた。
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