シズカ・ファイアード1
リビングでミカに勉強を教わっているとお客さんが来た。そろそろかなって思っていた。ナギさんが応対している。家にあげたようだ。
リビングでの扉が開くとそこには綺麗な服を着た女の子がいた。もう一度言う“女の子”だ!
当然知ってる顔である。僕の父親は何をしてくれるんだ。頭を抱えたくなる。
女の子の名前はシズカ・ファイアード。筆頭執事のベルク・ファイアードの娘である。
年齢は僕と同じ12歳。誕生日は僕より5日間だけ早い。特に目をひくのは真紅の髪と大きな目。その大きな目はいつも好奇心に溢れている。
整った鼻や口。現在は可愛さが残っているが、大人になれば間違いなく美人になる素材だろう。
僕の髪色が真紅だったなら婚約者になっていた女の子でもある。
強い魔法は血を選別してきた貴族しか使えない。12年前、分家のファイアード家の娘が真紅の髪色で生まれた。
本家のファイアール家でも出産が真近だった。 本家の子供が男の子ならば血を選別するために2人を結婚させるというのが当たり前の考えだった。
実際男の子は生まれた。水色の髪色で。
当然ながら婚約の話は流れた。その2年後、本家でまた男の子が生まれた。今度は真紅の髪色で。
現在、シズカは僕の弟であるガンギ・ファイアールと婚約している。
僕が頭を抱えた理由はシズカの性格のせいだ。
シズカは完全な実力主義者。
強い人が正義であると思っている。
実際そのような発言を良くしている。
僕の弟で2歳下の婚約者のガンギにも実力が伴わなければ結婚はしないと明言している。
魔法が使えなかった僕はシズカから虫を見るような目で見られてきた。当然僕にはシズカに対して苦手意識がある。
そしてもう一つ面倒な性格が異常なまでに好奇心が強いってことだ。
自分が気になったことにはどんな事柄でも首を突っ込む。
はっきり言えば人の気持ちを考えない少女である。
父親の失態を娘が挽回すると言えば良い話に聞こえる。
しかしこれは違う。シズカ自身の好奇心で動いている。
2ヵ月ほどでBランク冒険者になった僕。実力が無いと無理な実績だ。
そして火の魔法の威力を超える蒼炎の魔法の真偽。
実力主義者で好奇心旺盛なシズカの前に今の僕を近くにおいたら、腹を空かせた猛獣の前の高級肉みたいなもんだ。
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