ウォータール公爵家1
朝食を食べてゆっくりしているとウォータール公爵家の迎えの馬車がきた。予定より早いお迎えだ。慌てて用意をし、ミカと共に馬車に乗る。
ウォータール公爵家の屋敷はアクロの街には無く東門を抜けて3キロルほど行ったところの海沿いに立っている。屋敷の隣りにはAランクダンジョンである東の封印ダンジョンがある。
門にて出迎えてくれた執事に案内され屋敷に入る。さすが公爵家だけあり立派な屋敷だった。
連れていかれたのは豪華な応接室であった。さりげなく高そうな絵画や銅像が並んでいる。
ソファに座って待っていると2人の男性が入ってきた。
40代くらいの細身の男性。濃い青の髪はオールバックに整えている。目は鋭く威圧感を感じる。
もう一人の後ろについている男性はサルファ・ウォータールだ。苦虫を噛み潰したような顔をしている。
リンカイ王国の東の封印守護者であるウォータール公爵家。東の封印は水を司る。この髪色は間違いなくウォータール公爵家の人だろう。
「よく来ていただいた【蒼炎の魔術師】殿。この度はBランク冒険者昇格おめでとう。私はウォータール公爵家宗主のセフェム・ウォータールだ」
そう言って右手を出してきた。僕もその手を握り返し挨拶する。
「アキ・ファイアールです。現在家出中の放蕩者です。この度はお招きいただきありがとうございます」
セフェムは僕の言葉に軽く目を見開きソファを勧めた。
「まずはアキさんに謝らないといけない。ウチの愚息がご迷惑をかけた。今後一切君には関わらせないから許して欲しい」
「私は良いのですがウチのミカが嫌がっていますのでミカにも関わらせないようにお願いします」
そう言うと突然セフェムの隣りに座っていたサルファがおもむろに立ち上がり激昂して叫んだ。
「お前は何を言っているんだ!ウォータール公爵家の俺の物になって喜ばない奴隷がいるわけないだろ!ガキが調子にのってイキがっているんじゃない!」
その瞬間セフェムがサルファの頬を強烈に殴った。殴られたサルファは転倒し、驚愕の顔でセフェムを見る。
「お前は何を言っているんだ!お前の我儘でアキさんに迷惑をかけたのに暴言を吐くなんて!今日だってわざわざウォータール公爵家との関係を考慮して、こうして出向いてくれたんだぞ!」
「だけど…」
「反論は許さん。誰かいるか!」
宗主のセフェムがそう言うと部屋の外で待機していた男性が3名入室してきた。
「サルファには罰を与える!髪を脱色させてしばらく外出禁止だ!サルファの奴隷も全部売り払ってこい!」
「父上!そんな馬鹿な!」
「反論は許さんと言ったろ!早く連れてけ!」
サルファはがっくり肩を落とし入室してきた男性達に引き連れられて行った。
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