着せ替え人形
カーテンの隙間から朝の光が漏れてる。穏やかな朝だな。予定がダンジョンでないと気持ちにも余裕ができる。当分、ダンジョンは良いかな。
庭に出て剣術の訓練を始める。ミカも既に庭にいて素振りをしている。
一通りの素振りの型を終え、木剣に変えてミカと模擬戦を始める。剣術レベルの差があり過ぎて全く相手にならない。日々努力だね。
「ミカ、昇龍シリーズの装備がいっぱいあるんだけどやっぱり売っちゃダメなの?」
「だって知らない人が同じ装備をしているのってやじゃない?お金に困ってるなら売っても良いけど困ってないし…」
「そうなんだけど置き場に困ってね」
「将来的にはクランを作って、それの専用装備にしちゃえば良いのよ。沼の主人ダンジョンはアキくんしか制覇できないから他の人が【昇龍シリーズ】の装備は手に入らないじゃない!」
ミカは一人で納得した顔をして満足していた。
朝ごはんを食べてミカと一緒に礼服を買いにいく。お金はいっぱいあるからアクロで一番の高級店に入った。
すぐに中年の男性店員が愛想良く近づいてきた。僕が話題のB級冒険者と気がついたようだ。僕の水色の髪色と年齢、いつも着ている昇龍の装備(深い青色)等が特徴的で分かったのだろう。
「いらっしゃいませ。どのような服を御入用でしょうか?」
「明日、ウォータール公爵家に行くんだけど、それに着て行く服をお願いしたいんだ」
「数点見繕ってきます。色はどのようなのがよろしいでしょうか?」
「僕は髪色が水色だから淡い服の色だとぼやけちゃうよね。やっぱり無難に黒系が良いかな」
「了解いたしました。それではこちらでお待ちください」
そう言って豪華な応接室に連れていかれた。試着室も備え付けられている。女性の店員がお茶を入れてくれた。
男性の店員が3着のスーツを持ってきた。その内の一つをミカが気に入りそれに決まった。あとはシャツや靴下、靴などの小物を購入した。
僕の買い物は終了した。さぁこれからが本番だ。
「明日はこちらのミカもウォータール公爵家に連れて行くんだ。護衛も兼ねるので剣帯をしても問題無い服装で失礼のないように見繕ってくれるかな?」
「了解致しました。スラックスタイプが良いですかね」
「いや、僕の好みはスカートだね。剣帯を装備するから広がり過ぎない膝上くらいのスカートが良いかな。下にレギンスを用意してもらえればスッキリするよね」
「わかりました。上はシンプルなシャツとジャケットにしますか。騎士風にすれば良いかと思います」
その後、僕は応接室でお茶を飲みながらミカを存分に着せ替え人形にして楽しんだ。
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