Bランク冒険者とは
Bランク冒険者になった次の日、朝から冒険者ギルドに向かった。なんでもBランク冒険者にはギルド長から話さないといけない事があると言う。1人で来るように言われた。
冒険者ギルドに到着した。受付でギルド長の面会を申し出た。このまま直接ギルド長室に行ってくださいと言われる。
2階のギルド長室の扉をノックする。中から「おう!入ってくれ!」と言われたので扉を開けた。
「こないだのソファに座ってくれ」
僕はうなずくと素直にソファに座る。
すぐにギルド長は向かいのソファに腰掛ける。
ノックの音がして先程の受付にいた人が入ってきた。お茶を入れて退室していった。
「今日呼び出したのは他でもない。Bランク冒険者になった時にしないといけない説明をする為だ」
「いろいろあるんですか?」
「まぁそうだな。一つ一つ片付けていくか。まずは身分についてだ」
「身分ですか?」
「Bランク冒険者になるとどこの国でも貴族扱いになるんだ」
「それは凄いですね。でも本当なんですか?」
「冒険者ギルドはどこの国でもあるな。そして魔石を買い取るのは冒険者ギルドだ。魔石は各種魔道具などに使われるエネルギーだな。簡単にいえば冒険者ギルドは各国のエネルギーの買い取りと販売を独占的にやっているんだ。冒険者ギルドに睨まれた国は立ち行かないよ。エネルギーの供給を止めてしまえば良いからな。まずは冒険者ギルドが権力がある事を理解してくれ」
「なるほど理解しました」
「話が早くて助かる。それで冒険者ギルドにとってBランク冒険者は大切なエネルギーを供給してくれるお得意様だ。だからどんな事があろうとも守るんだ。Bランク冒険者になるとどこの国でも貴族扱いになる事は理解できたかな」
「大丈夫です」
「他にはBランクに上がるとギルドポイントが無くなるんだ。Aランクに上がるためにはこのリンカイ王国に4つあるB級ダンジョンの完全制覇しかない」
「厳しそうですね」
「まだこの話には続きがある。Aランク冒険者になると封印ダンジョンに入ることができる」
「それは本当ですか?ファイアール公爵家では封印のダンジョンには何人たりとも入るべからずって聞いていました」
「その唯一の例外がAランク冒険者だ。封印ダンジョンには何が隠されているのか気にならないか?気になるのならAランクにならないとな」
「少しだけ興味をそそりますが、無理して入ろうとは思いませんね」
「なんだ若いのにつまらんことだな。どうせなら【自分が封印のダンジョンを制覇してみせる!】ってくらい言っても良いだろ」
「そうですね。落ち着いたらそれを目指しても面白いかもしれないですね。冒険者ギルドに登録してから遮二無二ギルドランクを上げることばかりやってたんで、まだ次の事を考えついてなくて」
「まぁBランクにあげるために結構無茶苦茶な討伐してたみたいだからな。おかげでウチの支部は良質な魔石がいっぱい手に入って助かったけどな。話は変わるがお前の蒼炎の魔法ってそんなに凄いのか?」
「破壊力が凄すぎてダンジョンでしか怖くて使えないですよ。あ、【黒龍の杖】っていう魔法の威力を抑える杖を持っているのですが、もっと威力を抑える杖ってありませんかね」
「魔法の威力を抑える杖だぁ!?そんな杖なんて需要がないから聞いたことないぞ。そこまでして蒼炎の魔法の威力を抑えたいのか?」
「ダンジョン外で蒼炎の魔法を使ったら辺り一面焦土になりそうです」
「分かった。使わないようにしてくれ。街を焼け野原にはされたくないからな」
ギルド長はお茶を一口飲んで喋り出した。
「あとはBランク冒険者になると冒険者ギルドの施設が無料で使えるようになる。お前が泊まっている一軒家とか、ここの下の食事処とかな。その他に冒険者ギルドが提携している武器屋や宿屋なんかでは割引サービスなんか受けられるよ」
「なんか凄いですね。ただで一軒家に住めたり食事ができるんですか」
「それだけ多くの魔石を納品してくれるBランク冒険者はギルドに貢献してくれてるってことだ。お前のおかげでウチの支部の職員にはボーナスをはずむ予定だよ。できればこれからもアクロ支部で活動してほしいな」
「家出してきたので一度実家に顔を出そうかなって思ってはいます。その後はまだ考えてないですね」
「以上でBランク冒険者に話す内容は終わりだ。そういえばウォータール公爵家宗主のセフェム・ウォータールがお前に会いたいと言っていたぞ。Bランク冒険者と顔を繋ぎたいんだろ。次男坊の事も謝罪したいみたいだ」
「わかりました。少し落ち着いたら連絡してみます」
「これからもよろしく頼むぞ」
ギルド長は右手を差し出した。僕はその手を力強く握り締めた。
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