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ダンジョンでの面倒ごと

その日はいつもと同じように沼の主人ダンジョンの毒泥ゴーレムを倒して2階に戻ってきた。ここからゆっくりと泥ゴーレムを倒しながらダンジョンの入り口まで戻るのがいつものパターンだ。


いつもどおり道の上まで泥ゴーレムが上がってくるのを待って蒼炎を撃ち込む。淡々と作業とも呼べる討伐をこなしながら、ミカのひるがえるスカートを見ていた。殺伐としたダンジョン攻略の中での癒しである。


1階に上がり入り口から1キロルまでのところで気が付いた。ダンジョンの入り口付近で戦闘をしている冒険者がいる。


沼の主人ダンジョンは簡単な一本道のため隠れて出ることができない。横を走り抜けていこうかと思ったが、この冒険者パーティは10人を超える人数で15メトルの道幅いっぱいに広がって戦闘している。時間をかけ過ぎたのか泥ゴーレムも3体いる。倒れている人も2〜3人いるようだ。


ミカと顔を合わせる。


「どうしようか?」

「あれだと隠れて外に出れないわ」

「苦戦しているようだし、倒れている人もいるから助けたほうが良いかな」


通常ダンジョンであったら他の冒険者パーティには獲物の横取りなどがあるため、不干渉が原則である。あくまでも自己責任が冒険者の基本となる。


しかし生命の危険性などがある場合や救援を求められたら、出来るだけ助け合うのが不文律としてある。


状況次第でいろいろと対応を変えないといけない。倒れている人がいるため助けても良いのだが、あとから難癖をつけられる場合がある。


また泥ゴーレムに効き目のある攻撃は蒼炎しかないため、あまり人前で使いたくはない。


「まぁ近くまで行って、リーダーに声をかけてそれから適宜判断かなぁ」

「そうね。結局わからないもんね。蒼炎は後何発撃てる?」

「うーんとね。後8発だね」

「分かったわ。それなら問題ないわね。取り敢えず行ってみましょう」


戦闘現場に近づいていくと、戦っている人はみんなチョーカーをしている。奴隷のようだ。剣で斬りつけても泥のゴーレムはすぐに修復し、拳を振り上げて殴りかかっている。


一番奥から20セチルほどの水弾が発射された。泥ゴーレムに当たるが全く効いている感じは受けない。


誰が魔法を撃ったのか確認できた。濃い青色の髪色に高そうな金属鎧を装備している20歳半ばの男性。見るからに性格が悪そうな顔をしている人物。間違いなくサルファ・ウォータールであった。


僕らより魔石を多く納品するならCランク以上のダンジョンに入らないといけない。

アクロ周辺ダンジョンでCランク以上のダンジョンは3つしかない。Aランクの東の封印ダンジョン。Bランクの水宮ダンジョン。そしてCランクの沼の主人ダンジョンである。


それでCランクの沼の主人ダンジョンに来たのだろうがこれは悪手である。水系のモンスターに水系の魔法をぶつけてもダメージはほとんどでない。そんな単純なことが分かっていないようだ。


パーティのリーダーがサルファ・ウォータールならこちらに助けは求めるわけがない。取り敢えず静観するしかなかった。


サルファも僕達に気がついたようだ。遠目でも悔しがっているのがわかる。ヤケ糞気味にウォーターボールの魔法を3発連射する。なかなかの速さだが泥ゴーレムにはまったく効いていない。


どうするのか見ていると「撤退だ!撤退するぞー!」と大きな声を張り上げていた。

誰よりも早く逃げ出すサルファ。慌ててそれを追う奴隷達。残されたのは倒れている人が3人、足を引きずっている人が1人。4人が残されていた。


「ミカ!このまま蒼炎を撃つと倒れている人にも余波が行く!こちらに泥ゴーレムを誘導してくれるかな?」

「分かった。任せといて」


そうミカは言うと3体の泥ゴーレムを昇龍の剣で切り裂いていく。昇龍シリーズを装備しているミカの速さは目に追えないくらいだ。

3体のゴーレムはミカをロックオンして追いかけてくる。

ミカが蒼炎の範囲を逃れるタイミングを図り呪文の詠唱をする。


【焔の真理、全てを燃やし尽くす業火、蒼炎!】


3体いた泥ゴーレムの真ん中の1体に蒼炎は当たる。余波で左側のゴーレムは倒せた。右側のゴーレムは片腕だけしか焼けなかった。

残ったゴーレムにもう一発蒼炎を撃ちこむ。大量の水蒸気が出て、泥の成分が赤白くドロドロになっていた。

数秒で蒼炎の余波エネルギーとゴーレムの残骸をダンジョンが吸収した。


残ったのは3個のC級魔石と倒れている3人と唖然とこちらを見ている足を引きずっていた男性奴隷だった。


C級魔石を拾ってマジックバックに入れる。倒れている3人は重症だった。このままほっとけばダンジョンに吸収されるだろう。


取り敢えず意識のある足を引きずった男性に声をかける。


「まずはこのポーションを飲んで。」


その間に倒れている人にもポーションを飲ませる。少し待つと倒れていた3人の意識が戻った。

肩を貸してあげてダンジョンの外に出る。

先に逃げ出したサルファ達はどこにもいなかった。


しょうがないから肩を貸して西門まで怪我人を連れてきた。サルファの奴隷なので、西門の衛兵に伝え処理を頼んだ。奴隷は物扱いだからしかるべきところに預けて主人に取りに来てもらうのが正しい対応だ。


助けた奴隷4人はお礼も言わない。僕達のせいで無理矢理ダンジョン探索をさせられているため恨みがあるみたい。なんだかなぁ。


【15日目】

昇龍の胸当て

B級魔石  1個

C級魔石 74個

アキ レベルUPなし

ミカ レベルUPなし

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[気になる点] >「助けた奴隷4人はお礼も言わない。僕達のせいで無理矢理ダンジョン探索をさせられているため恨みがあるみたい。なんだかなぁ。」 いやそれで主人公を恨むのは無理があるぞ サルファ並みに性…
[一言] 「助けた奴隷4人はお礼も言わない。僕達のせいで無理矢理ダンジョン探索をさせられているため恨みがあるみたい。なんだかなぁ。」 次からは、あの公爵家の奴隷は助けない。いくダンジョンを改めて考慮…
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