沼の主人ダンジョンの制覇
ボス部屋の沼は赤紫色をしている。沼の底から気体が出てきているようでボコボコ泡が出ている。
変な匂いがしている。
長くここにいると毒にやられる可能性があるのかな?体調に変調が来たら逃げ出さないといけない。ミカにはボス部屋の入り口で待機してもらい、僕が動けなくなるようなら助けだせるように頼んだ。
僕は部屋の中央まで進んだ。30メトル先の正面の沼が盛り上がってくる。
唖然とした。通常の泥のゴーレムは体長3メトルくらいだが、ここのボスゴーレムは5メトルを超えている。赤紫の泥を纏い、湯気(毒?)が身体から出ている。
慎重に沼から出てくるまでの時間、僕の心臓はドキドキしていた。5メトルを超えるゴーレムは迫力満点だ。
それでも僕がやる事は一つ。落ち着いて呪文を詠唱する。
【焔の真理、全てを燃やし尽くす業火、蒼炎!】
真っ直ぐボスゴーレムの胸の辺りに蒼炎が当たる。物凄い水蒸気が辺りを包む。泥の成分が熱で蒸発している。少しだけえずくような匂いがした。毒はあるのかな。今のところ体調に変調はない。
水蒸気が晴れるとボスゴーレムがいた場所には泥の成分が赤白くドロドロになっていた。数秒経つとダンジョンに吸収されC級魔石よりひと回り大きな魔石が転がっていた。
そしてその横に宝箱が現れると赤紫の沼が通常の茶色い沼に変化した。
空気も変わったようで変な匂いも無くなっている。やっぱりダンジョンは不思議なところだ。
現れた魔石を拾うと横にミカが来ていた。
「体調は問題ない?」
「今のところ大丈夫だね」
一応ステータスカードを確認する。まさかの毒のステータスがついていた。HPも10ほど減っている。慌てて解毒ポーションを飲んだら毒のステータスは消えていた。念のためミカのステータスも確認したが問題無かった。
「B級魔石かしら?」
「どうだろうね。ギルドで調べてもらうしかないね」
2人してニコニコして会話を続けている。2人共ニコニコが止まらない。
「それではいよいよメインイベントです!」
高らかに僕は宣言する。
ミカも拍手で応えてくれる。
E級ダンジョンを制覇した時の宝箱はお金しか入っていない。D級以上からは迷宮武器や装備、魔道具などが出てくる時がある。
D級以上のダンジョン制覇の宝箱を開けるのはダンジョン探索の醍醐味と言われている。
僕もミカも初めてのことだ。
ドキドキしながら宝箱を開ける。
宝箱の中には青色の刃の剣とダンジョン制覇メダルが入っていた。
青色の刃の剣を見つめるミカの目が期待に溢れている。
「剣は冒険者ギルドで鑑定してもらおう。ダンジョン産の剣だからどんな特殊効果がついているか楽しみだね」
僕はそういうと青色の刃の剣とダンジョン制覇メダル、大きめの魔石をマジックバッグに入れた。
青色の刃の剣をマジックバッグに入れるのをミカは少し悲しそうな顔をしていた。早く使ってみたいんだね。
「帰りは6階から3階は駆け抜けていって、2階からは泥ゴーレムを倒しながら行こうか」
「分かったわ。それで行きましょう」
準備ができたので出発した。帰りの道中は特に問題なく走り抜けて行った。2階層に戻るといつもどおり泥ゴーレムを討伐して行った。
MPを限界まで使ってダンジョンを出ると夕方になっていた。
やっぱりボス部屋まで行くと時間がかかるなぁ。
剣術の練習は朝に早起きしてやろうかと思った。
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