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蒼炎の魔術師 〜冒険への飛翔〜  作者: 葉暮銀
王都センタール編
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第112話 ミカとの新しいスタート

 徹夜明けでの学校。さすがに眠い。

 ホームルームが始まる前に少し教室で寝ようかなっと思って教室に行った。

 扉を開け「おはよう!」と言うと近くのクラスメイトから「おはよう」と返される。


 僕はクラスで仲の良い友達がいない。

 赤のAクラスは当然殆どがボムズ出身だ。入学時には半数くらいの顔を知っていた。

 同い年で出身地が一緒でも、僕は特殊な環境で育ってきた。

 クラスメイトの半数は、今までずっと馬鹿にしていた奴が、魔法難関校でクラスメイトになったことに戸惑っている。皆んな距離感を掴みきれずにいる感じだ。

 挨拶をすれば返してくれるが、雑談を交わすような人はいない。


 僕は馬鹿にしているつもりはないのだが同年齢の人がとても幼く感じてしまう時がある。

 僕が年寄りなのかもしれない。本を読み過ぎて生きてきた弊害なのかな?

 ヴィア主任にも以前歪だって言われたしな。


 王都魔法学校の授業の半数の時間が魔法実技の授業なのも友達ができない要因かも知れない。

 僕は魔法実技の授業を全てヴィア主任の管轄でやっている。その為、毎日午前中はクラスメイトと別行動だ。


 またこのクラスの魔法実技の担当教師は担任のシベリーさんである。厳しくて有名なシベリーさん。

 そのシベリーさんの魔法実技の授業を一緒に受けるクラスメイト達は団結力が強くなっているようだ。

 僕はシベリーさんの授業を受けていないため、無意識下で皆んなから仲間と認められていないのだろう。

 少しだけ寂しいがいじめられている訳でも無視されている訳でもない。今後、ゆっくり仲良くなれれば良いと思っている。


 僕は自分の席に向かった。そして仮眠を取るのをすぐに諦めた。

 唯一僕に話しかけてくるクラスメイトがいる。

 そうシズカである。シズカは完全な実力主義者。強い人が正義であると思っている。また異常なまでに好奇心が強い。

 また最近気が付いたが自己中心的な一面もあるようだ。相手をするには徹夜明けには厳しい。


 シズカは僕が席に座るとすぐに近寄ってくる。

 ホームルームが始まるまでの時間、シズカからは一緒にダンジョンに行こうとずっと言われ続けていた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 ホームルームが終わり、ミカと合流した。

 今朝のミカは何か吹っ切れたようにとても明るい。雰囲気が全く違う。

 たぶんミカはまた孤独になるのが怖かったんだと思う。それが僕に対しての過剰な依存になったのだと感じる。ずっと孤独になる不安は無くならないだろう。

 だけど僕と冒険を楽しむと言う目的を再確認して、前向きに変わってくれたように思った。

 僕に対するミカの口調、態度も変わった。ミカ自身が言っていたが、卑屈さが無くなっている。

 今の僕とミカとの会話は友達のようだ。

 そうだ、これこそが冒険者のパートナーだ。


 ヴィア研究室に出向く。

 眠そうなヴィア主任とサイドさんが明るく僕たちを迎えてくれる。

 確かにまだ僕はクラスで友達がいない。居場所が無いともいう。でもここには確かに僕の居場所がある。

 ヴィア主任とサイドさんを見ていて、僕は充足感を感じていた。


 お昼は学校の食堂で食べて、僕は午後の授業をクラスで受ける。

 その間にミカは食材の買い出しに行った。今日の晩御飯はミカと僕の2人で作る予定だ。


 夕方、2人で料理した。王都名物のパスタだ。肉と野菜を炒め、簡単な調味料で味を整える。茹であがったパスタにそれをかける。

 2人で作った料理は最高だった。味はユリさんには負けるけど……。


 お風呂上がりのフルーツジュースを飲む。今日は徹夜で活動していた。もう瞼が重い。

 だけどまだミカと離れたくない。強くそう思った。ミカも僕と同じ思いだったと思う。

 その夜、僕のベッドで2人で寝た。

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