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蒼炎の魔術師 〜冒険への飛翔〜  作者: 葉暮銀
王都センタール編
416/484

第102話 貫く言葉【ミカの視点】

【第93話〜第101話のミカの視点】


 蒼炎の魔法のダンジョン外実験。その日の晩にアキくんと話し合いをした。

 次の日からは表面上は普通の日常に戻ってはいた。

 しかし何となくアキくんと心の距離を感じる。その距離を、私が詰めようとするとアキくんから捨てられそうな予感がした。

 私はただ、時間が解決してくれる事を願って日々を過ごす。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 国王陛下との謁見と会食でも、私の奴隷解放の話が出た。どうしてほっといてくれないのだろう。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 国王陛下との謁見と会食が終わり、帰宅すると冒険者ギルドから出頭要請があった。

 慌ててアキくんと対応を話し合う。

 まずは私一人で冒険者ギルド近くの飲食店や飲み屋で情報収集をする事にした。

 最悪な時は王都から逃げる事も確認する。


 すぐに部屋に行って出かける用意を始めた。

 水色のチョーカーを触ると心が温かくなる。私の大事な宝物だ。しかし隠れて情報収集するとなると水色のチョーカーは目立ち過ぎる。私は気持ちを切り替えて黒色のチョーカーに変えた。

 ここ王都では、アキくんを守れるのは私はしかいないのだから。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 まずは冒険者ギルド近くの定食屋に入る。年配の冒険者が1人でご飯を食べていた。早速、冒険者ギルドの職員の人間関係を聞いてみる。


 冒険者は話好きらしく、聞いていない事まで話をしてくれた。分かった事はギルド長がやり手だが敵も多いって事。職員はギルド長側と反ギルド長側に分かれているらしい。


 冒険者に金を渡して、反ギルド長側の職員を隠れて1人呼んでくるように頼む。呼び出しは成功してその職員の仕事が終わるのを指定された飲み屋で待った。


 飲み屋では私に声をかけたがっている男性がチラホラいた。しかし奴隷の証であるチョーカーがそのような男を遠ざけてくれる。まるでアキくんが守ってくれているみたい。


 私がワインの2杯目を飲み終わる頃にその職員はやってきた。

 話をしてみるとアキくんと私が任意出頭になっている事を知らなく吃驚している。

 その代わりの話としてギルド長の話を聞く事ができた。


 ギルド長は王国財務部に返り咲きたくて、お金を王国財務部周辺にばら撒いている。そのお金は冒険者ギルドの経理を誤魔化して捻出しているに違いないって言うんだけど証拠はないようだ。

 これ以上の情報は無いようで、明日は反ギルド長側の1番上の役職の人を呼んで欲しいと頼み、飲み屋をあとにした。


 家への帰り道、気がつくと奴隷の証であるチョーカーを触っていた。最近クセになっている。アキくんと、今年の年末年始の時のような関係に戻りたいと切に思いながら歩いた。


 帰宅後、アキくんに報告をする。明日私は従者を休んで情報収集に行くことに決まった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 アキくんが学校に行くのを見送り、私は家で時間を潰していた。

 そんな時、サイドさんが私を呼びにきた。私は訳が分からないままヴィア研究室に連れていかれる。研究室にはアキくんがポツンと1人座っていた。

 アキくんが今日の経緯を説明してくれる。どうやらヴィア主任が解決に向けて動いてくれているようだ。

 ヴィア主任に頼って大丈夫なのか判断がつかなかったが、最悪王都から逃げれば良いと私は思っていた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 夕方にヴィア主任が帰ってきた。私はヴィア主任を見て唖然としてしまう。

 こんな綺麗な人が存在するのか……。

 張り合うのが馬鹿らしいほどだ。


 その後のヴィア主任の説明は圧巻だった。人としての格の違いを思い知らされる。

 またこのような人物が近くにいてくれた事に感謝した。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 久しぶりにアキくんと朝の鍛錬で模擬戦をする。アキくんとの心の距離は変わっていない。あまり考えるのはやめよう。きっと時間が解決してくれるはず……。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 ヴィア主任の説教は私の心の奥底に響いた。


「その選択は本当にアキくんを笑顔にさせるのか?」


「1人で守る必要は無いんだよ。皆んなで協力して守れば良いじゃないか」


「君達には信頼できる仲間を増やして欲しいんだ。私はその仲間に既になっていると勝手に思っている」


 どの言葉も私の胸を貫く。

 王都に来てからアキくんを守れるのは自分しかいないと思っていた。どうやら力が入り過ぎていたみたい。

 またアキくんの安全ばかりを考えて、アキくんの幸せを考えていなかったかもしれない。

 それを気づかせてくれたヴィア主任に本当に感謝した。

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― 新着の感想 ―
何度見ても「皆んな」この表記はもにゃります。 喉に引っかかった魚の小骨みたいに・・・
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