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蒼炎の魔術師 〜冒険への飛翔〜  作者: 葉暮銀
王都センタール編
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第96話 捲し立てるヴィア主任

 学校には1人で行った。ヴィア研究室に行くとサイドさんがミカがいない事を聞いてくる。

 サイドさんに聞かせる話ではないとは思うが、僕たちが王都から逃げ出す事を考えたら話す事に決めた。いきなりいなくなったら悪いもんね。


 王都に来てからの経緯をサイドさんに話す。話していて分かった。Bランク冒険者になって僕は一定の権力を得た。でもそれは冒険者ギルドがあってのものだ。今回はその冒険者ギルドが相手だ。つまり権力が通じない。


 僕の話を聞いたサイドさんは少し考えてから僕に話をした。


「そうだね。まずは情報が必要だね。この話をヴィア主任に話して良いかな?」


 別にヴィア主任にも話そうと思っていたから僕は頷く。

 サイドさんは僕に笑顔で言った。


「アキくんはこれから分かると思うよ。長老って言われている意味を」


 そう言って椅子から立ち上がりヴィア主任を起こしに行った。


 ボサボサの髪でボヤきながらヴィアさんが研究室の奥から現れた。


「私の研究に対しての一大事って言ってまで、私の至極の睡眠を邪魔したんだぞ。もし違かったら分かっているんだろうなサイド」


 そうヴィアさんは言って不機嫌そうに椅子に座る。

 サイドさんが僕を見ながらウインクして言った。


「さぁアキくん、先程僕に話してくれた内容をヴィア主任に話してごらん」


 僕はサイドさんに話した内容と同じことを話した。


 途中から顔が怖くなるヴィア主任。

 そして最悪の場合には僕とミカは王都から逃げると言ったら爆発した。


「アキくん! 君は何を言っているんだ! アキくんがいないと蒼炎の魔法について調べられないじゃないか! 王都から逃げるだなんて考えちゃいけないよ!」


 僕はヴィア主任の迫力に圧倒される。僕が「でも…」と口を開きかけたらヴィア主任に怒鳴られた。


「良いか! 君はまだ子供なんだ! その証拠に学生をやっているじゃないか! お金をたくさん持っていても、たとえ強い魔法が撃てようとも、君が15歳の子供なのは動かしようがないだろ! 子供が困っていたら自分が信じられる大人に頼め! 私は君に取って信じられる大人ではないのか!」


 興奮しすぎて息が激しくなってるヴィア主任の言葉がいまいち理解できなかった。

 去年まで僕の周りには信じられる大人だけでなく、普通の人もいなかったのだから。だって1人でずっといたし、家出後はサポートはあったかも知らないが、あまり人に頼った事がなかった。人に頼ると言う選択肢が、僕には徹頭徹尾存在していない。


 反応が薄い僕を見て、ヴィア主任が泣き出した。そして僕を抱きしめてくれた。僕は何で泣いているのか理解できなかった。

 ヴィア主任には僕の小さい時の境遇や家出の後の話はしている。蒼炎の研究のためだ。


 落ち着いたヴィア主任が僕の目を見て言った。


「大人に頼る考えを持っていない君はとても寂しい。それがたとえ君の境遇のせいだとしても。君は歪なんだよ。見てろよ! 頼れる大人を君に見せてやろう! 君らは何もしなくて良い。あとは私に任せろ。早まるとまずいな。まずはサイド、ミカくんを捕まえてこい。家に行っていなかったら冒険者ギルドの周辺を探してこい。私はシャワーを浴びてから出かけてくる」


 そのままヴィア主任は自分の部屋に備え付けられているシャワーを浴びに奥に引っ込んだ。


 サイドさんが僕に言った。


「ヴィア主任を良く見ておくんだよ。アキくんはもう少し子供で良いんだよ。あとでゆっくりと話そう。僕はミカさんを確保しないと。まだミカさんは家にいるかな?」


そう聞かれたので「家にまだいると思います」と言ったら、すぐにサイドさんは研究室を出て行った。


 1人になってしまった。

 少し経つとそこには綺麗なエルフが現れた。


 ストレートの緑色の髪がサラサラしている。服装は黒のスーツでシックに決めている。

 知性を感じさせる空気感。綺麗な目は強い光が宿っている。

 芸術品だ!っと僕は思った。形容する言葉が見当たらない。

 まさに美の体現者だ!


 綺麗なエルフはヴィア主任だった。優しいけれど挑むような目で僕を見てくる。


「君はここで待ってろ! ちょっと出掛けてくる! 私が戻るまでここにいろ! 今日の午後の学校での座学はこちらの時間に当てる。サイドが帰ってきたら調整するように言っておいてくれ」


 そう捲し立てると究極の美は研究室を出て行った。

 少し経つとサイドさんがミカを連れて研究室に戻ってきた。

 ミカは何もサイドさんに聞いていなかったため、僕は今日の研究室での事を話した。


 ミカは「どうなるんだろ」って言葉を漏らすと、サイドさんからは「長老に任せておけば大丈夫」と軽く言っていた。


 サイドさんは今日の僕の午後の授業はこちらでやる旨を学校に伝えたり、お昼の手配などをしてくれた。


 勉強をする気持ちにはなれず、ヴィア主任が帰って来るまでミカとサイドさんと雑談をして過ごした。


 そして夕方、ヴィア主任が研究室に帰ってきた。

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