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蒼炎の魔術師 〜冒険への飛翔〜  作者: 葉暮銀
王都センタール編
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第79話 新品の制服と教科書

 4月6日になった。

 今日は教科書の購入と裾上げの終わった制服を取りに学校に出向く。

 ヴィア主任から魔法文言集の教科書は4属性分購入するように言われていた。

 通常は自分の属性しか購入しないが、僕は新しい蒼炎の魔法を作る授業のために必要との事だ。


 帰宅してからサイズ調整の終わった制服を着てみる。

 王都魔法学校の制服は上は白を基調としたジャケット下は紺色のスラックスだ。

 左側のウデには属性の色の線が入っている。

 Aクラスが2本線、Bクラスが1本線。

 僕のブレザーのジャケットには赤い3本線が入っていた。属性ごとの主席が3本線となる。


 ミカも従者の制服を試着している。

 黒主体のスーツになり女性の従者の下はスカートだ。

 ミカの従者の姿も良いもんだな。

 綺麗な女性がいろいろな服装になると新たな魅力に気付かされる。

 今度ミカを洋服店に連れて行って着せ替え人形にしようと心に決めた僕だった。


 リビングで今日購入した教科書を見て行く。


【魔法文言集・火属性】

【魔法文言集・水属性】

【魔法文言集・金属性】

【魔法文言集・風属性】

【魔法体系概論】

【魔法史】

【リンカイ王国歴史】

【呪文解析概論】

【魔法実践集】


 普通は魔法文言集は自分の属性しか使わないから教科書は6冊になる。僕は魔法文言集を4属性買ったから、全部で9冊になった。


 物心ついてからは文字と簡単な計算を教えてくれた人がいたが、ある程度のところでその人はいなくなる。

 読書が好きだったので公爵家の蔵書を読んで過ごした。

 知識は本から学んだ。

 気が向いたら一人で近くの山に行ったり、ボムズの街をぶらついた。ずっと1人だった。


 誰にも何も強制されず、優しくされない。

 18歳になったら冒険者になる事だけを夢見ていた。

 1人きりで勉強するのが普通だった。

 蒼炎の魔法が使えるようにならなかったら、どこの学校にも行かず、まだ1人で離れに住んでいただろう。


 僕は1年前、魔法も使えず、役立たずと言われていた。

 それが今はどうだ。優しい人達に囲まれて過ごしている。

 明後日からはあの王都魔法学校の生徒になるんだ。皆んなと一緒に勉強する事ができるんだ。

 2日後は入学式、その後から授業が始まる。

 僕は自室の本棚に並んだ教科書を眺めてニンマリした。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 4月8日、天気は晴れ。

 今日は王都魔法学校の入学式。

 新品の制服を着ると気が引き締まる感じだ。

 ミカも従者の制服を着て準備が出来た。


 王都魔法学校に歩いて行くと髪色は殆ど4属性の人ばかりになる。

 今日は子供の晴れ姿を見る為、王都まで来ていた父兄もたくさんいた。


 校門を抜けて入学式が行われる講堂に向かう。

 左手には魔法射撃場がある。蒼炎の魔法で空いた大穴は今は補修がされて綺麗になっている。防御結界も新しくかけ直したそうだ。

 僕は何となくホッとした。


 講堂の入り口では大勢の父兄がたむろっていた。自然と同じ髪色で集まって雑談している。その時僕は赤い髪色の集団を見てびっくりした。

 赤い髪色の集団の中央にファイアール公爵家宗主シンギ・ファイアールがいたからだ。


 確かにシンギは僕の父親だ。だけど僕の入学式に出席するとは夢にも思わなかった。

 シンギは僕とミカに気が付き、こちらに向かって歩いてきた。


「アキ殿、この度は王都魔法学校にご入学おめでとうございます。ファイアール公爵家一同、心から喜んでおります。今日はアキ殿の晴れ姿を拝見しに王都まで足を運ばせていただきました」


 まさかとは思ったが、僕の入学式を見にきたのか。片道7日間もかけて。僕は背中がむず痒くなった。


「お祝いの言葉ありがとうございます。わざわざ遠い王都まで足を運んでもらい恐縮です。学校ではしっかりと勉強していきたいと思います」


 シンギはニッコリと笑い言葉を返した。


「アキ殿の事は何も心配しておりません。これからの学生生活が有意義になるよう心からお祈りさせていただきます。それでは失礼します」


 そう言ってシンギは赤い髪色の集団に戻って行った。赤い髪色の集団にシズカの父親であるベルク・ファイアードがいた。こちらを睨んでいたが僕と目があったら視線を外した。


 そっかシズカも今年王都魔法学校に入学するからな。父親のベルクが入学式に参加するのに父親のシンギも一緒にきたのかな?


 僕と父親のシンギとの会話を聞いていたミカが僕に話しかけてきた。


「ねぇ。アキくんの父親のシンギさんってずっとアキくんをいないものとしてきたんだよね」


「そうだね。会話は全くしてないし、顔を見るのもたまにだったね」


 ミカが僕の目を見ながら口を開く。


「今年の新年のパーティでのシンギさんとの会話や今の会話を横で見ていると、それが信じられないのよ。さっきのシンギさんの顔は本当にアキくんの入学を喜んでいる顔だったわ。愛情すら感じるもの」


「本当だね。なんでだろね?」


 そう軽く返して講堂に入って指定されてる席に座る。

 ミカに言われたことは僕もそう思う。父親のシンギからは深い愛情を感じる。冒険者ギルドで交わした契約があるため、こちらに配慮をしているが、表情の端々で愛情が出ている。

 今まで全く気にかけられてこなかったため、今の父親との距離感に戸惑っている自分を感じていた。

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