第68話 面接開始
宿に戻ってミカに報告する。ミカは私も今日の蒼炎を見たかったと言っていた。
宿のほうはあとは1日単位で延長するとの事。
今日の事があるので不合格になるかもとミカに言ったら、それならば王国魔法学校を蒼炎で焼き払ってしまえば良いと過激なことを言っていた。
それでも僕は今日蒼炎を撃ったことを後悔していない。
反対に撃って良かったと思った。
あんなにダンジョン外で蒼炎を撃つのが怖かったけど、今日の蒼炎は今までの鬱憤を晴らすような喜びようだったから。
魔法と意思疎通できると言ったら変な人と言われそうだが、確かに今日僕は蒼炎と心を通わせた。
次の日の朝、王国魔法学校に行った。今後の試験をどうするかを聞くためである。
今後の試験は、まだ魔法実技テストが終わっていないものは今日冒険者ギルドにある魔法射撃場でテストをする。
魔法実技テストが終わっているものは随時面接をするそうだ。
僕は魔法実技テストが終わってると言われる。昨日の蒼炎の魔法は何点だったのか気になった。
取り敢えず、今日はこれからやる面接で終了だな。順番は真ん中くらいだから結構待つかなと思っていたがすぐに呼ばれた。
僕を呼びに来た人の後について歩いていたが面接会場が遠い。何故か学校の敷地を出て、隣りの王国魔法研究所に入っていく。
1階の1番奥の部屋に入ったら面接官が5人いた。1人はスーツ姿で後の4人は白衣を着ている。
机の向こう側に5人、僕1人だけ反対側の中央の席に座った。
扉から白衣を着た女性が入って来てお茶を入れる。僕にも入れてくれた。
僕の真正面に座ったのは1人だけスーツ姿の男性だった。
年齢は40歳後半くらい。中肉中背で髪は鮮やかな緑色、優しげな目で僕を見ている。
お茶が全員に行き渡ったところで僕の真正面に座ったその男性が話し出す。
「私は王国魔法学校の校長のポーツ・エアージです。あとの白衣を着ているのは王国魔法研究所の研究者達です」
何と僕の面接担当は校長先生自ら行うのか。僕は少し緊張してきた。
そんな僕をみて校長先生のポーツ・エアージは優しく微笑んだ。
「そんなに緊張しなくても良いよ。まず最初に言っておこう。アキくん、君の王国魔法学校への試験の合格は既に決まっておる」
唐突に告げられた僕の試験合格の結果。あまりにも唐突だったので喜びの感情が出てこない。
校長先生がそんな僕を見ながら話を続ける。
「まずは合格おめでとう。ただ合格発表までは内密にしていてくれるかな。今日はアキくん、君が昨日使った蒼炎の魔法の話を聞かせてもらおうと思ってね。同じように蒼炎の魔法について聞きたい研究所の職員も同席しているんだ」
そう言うと校長先生はいきなり僕に頭を下げた。
「まずは昨日、蒼炎の魔法を魔法射撃場で君に使わせてしまった事に対して謝らせてもらう。君は蒼炎の魔法の威力が高いため、受験前に手紙で注意喚起してくれていた。昨日も再三に渡りその危険性を試験官に訴えていたそうだね」
謝罪をする校長先生に僕は声をかける。
「確かに蒼炎の魔法の威力は凄いですが、昨日の威力は完全に私の想定を超えていました。ダンジョン内で蒼炎を使う時は半径3メトルほどなんです。いくらダンジョン外で使用したからといってあんな大きさまでになるなんて考えもしなかったです」
怪訝そうな顔を校長先生はした。
「その話は本当かい? ダンジョン内で蒼炎の魔法を使うと半径3メトルくらいというのは?」
「はい。いつも使うとそのくらいの大きさです」
「研究者が朝から魔法射撃場で黒焦げになった地面の大きさを測っていたんだよ。そこから推測される昨日の蒼炎の大きさは半径が24.5メトルとなった。いくらダンジョンがエネルギーを吸収するからといっても24.5メトルと3メトルでは違い過ぎるな」
僕は校長先生と会話を続ける。
「僕も何であんなに昨日の蒼炎が大きくなったのか見当もつきません」
その時、校長先生の隣りの女性が声を上げた。





