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第60話 王都センタールへ

 まずは魔石を確認する。Aランク魔石だろう。

 ミカと目を合わせる。2人共大きな息を吸って高らかに叫ぶ!


「「パンパカパーン!!それではメインイベントです!!拍手!!」」


 そして2人で拍手をした。


「「それでは宝箱のご開帳です!」」


 宝箱の蓋も2人で持ち一緒に持ち上げる。

 宝箱の中には深い赤色の直径20セチルほどの玉と制覇メダルが入っていた。


「やっぱり装備は入っていないかぁ」


 少し残念そうな声のミカ。


「結局Aランク冒険者になるって事はこの玉を4つ揃えろって事じゃないの?」


 僕が答える。まぁ考えてもしょうがない。

 お腹も空いたね。


「ミカ、僕もお腹空いちゃった。お弁当食べよう」


 そう言ってマジックバックからお弁当を2つ出す。


 食事後、僕はミカに相談する。


「どうする? このまま帰る? それとも少し寝てから帰る? MPは満タンだし寝るには早い時間だけど」


 ギルドカードで時間を確かめると未の刻になったばかりだった(午後1時)。


「このまま帰りましょうか。そこまで遅くならないわ」


 時間や体力の消耗などを考慮してこのまま帰宅する事になった。


「それにしてもここのボスイフリートは僕じゃ倒せなかったよ。スピードがあるタイプにも対応できるようにならないとダメだね。結局、火宮のダンジョンは最初から最後までミカ1人でクリアしたね」


「装備の相性もあったわね。いつものダンジョンはアキくんにおんぶに抱っこだから偶にはこういうのも良いんじゃない。私達は2人で1つのパーティなんだから」


 帰りは上機嫌のミカだった。それでもダンジョンを出た時は辺りは真っ暗だ。

 さすがに疲れたので真っ直ぐ帰る。

 今日はダンジョン探索で遅くなるか、最悪ダンジョンで泊まる予定だったためリーザさんは既にいなかった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 朝にリーザさんがやってきた。朝ごはんはダンジョンに持っていったけど食べなかったお弁当。火宮のダンジョン制覇をリーザさんに話したら凄い喜んでくれる。リーザさんはそのまま冒険者ギルドに報告に行った。


 お弁当を食べ終えて冒険者ギルドにミカと一緒に顔を出す。今回も皆んな立ち上がって拍手で出迎えてくれた。やっぱり嬉しいもんだ。


 宝箱から出てきた直径20セチルほどの深い赤色の玉の鑑定をお願いした。鑑定結果はやっぱり【不明】。まぁ分かっていたけどね。


 さぁ魔法学校受験まであと1ヶ月切っている。ダンジョン探索は当分中止だね。勉強と接近戦の鍛錬をしていこう。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 朝起きてリーザさんが作ってくれた朝ごはんを食べて受験の勉強をする。

 キリの良いところでミカと一緒に冒険者ギルドの鍛錬場に久しぶりに顔を出した。最近剣術は実戦主体でやっていたからなぁ。火宮のダンジョンで自分の無力さを痛感したからね。


 ボムズ支店の冒険者ギルドの鍛錬場は立派だった。縦50メトル、横30メトルはありそうだ。鍛錬場の隅には木製の武器がいっぱい立てかけてある。

 僕は木剣を握りそれの先に重りをつけて素振りの型を始めた。


 久しぶりだったので剣先がブレる。丁寧に調整していく。少しずつ感覚が戻ってきた。ある程度満足できた。次の型に移る。

 体重移動に注意して素振りを続けた。ミカも僕の素振りを見て特に何も言ってこない。大丈夫なようだ。


 素振りが終わって水を飲んで少し休憩。その後ミカと模擬戦の予定だ。

 ボケっとしていたら20代半ばの男性が近寄ってきた。

 身長は1.8メトルほど大きいな。身体付きは鍛錬をしているのか引き締まっている。髪色は黒に近い茶色。魔力が無い人の髪色だ。濃い顔をしている。太い眉に大きな目。しっかりした鼻がついていて少し厚めの唇をしている。

 女性から見たら好き嫌いのはっきりしそうな顔である。

 僕の直感が囁く。関わると面倒な人だ。


「おい、お前!俺と模擬戦をやらないか」


 僕は表情を変えず答える。


「いえ、間に合っております」


「なんだお前は腰抜けか。それとも剣に自信がないのか?」


 そんな安い挑発には乗らない。


「魔法と比べたら剣術には自信ないですね。それでは」


 そう言って僕は立ち上がりミカを呼んで帰宅した。鍛錬が中途半端になっちゃったな。まぁ今度からは朝早く行くか。


「先程の男性と何かあったんですか?」


「いや大した事ではないな。ミカは先程の人は知ってるの?」


「顔を知ってる程度ですね。名前も知りませんし、話したことはありません」


「まぁ特徴を言えばリーザさんなら知ってるだろ」


 帰宅して先程の男性の名前がわかった。覚える気がしないので、すぐに忘れる。


 リーザさんの話では僕とミカがボムズにくる前まではボムズの冒険者ギルドの中では5本の指には入る冒険者だったそうだ。5本の指って……。それは5番目って事だよね。じゃ今は7本の指に入る冒険者ってことか。


 面倒だからリーザさんに先程の件を少し脚色して伝える。慌てたリーザさんはすぐにギルド長に報告に行ってくれた。


 次の日からその男は鍛錬場の無期限使用禁止と2週間の冒険者ギルドのトイレ掃除の罰を受けてた。

 権力は正しく使わないとね。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 火宮のダンジョン制覇を祝してパーティを開催したいとファイアール公爵家から言われたけれど王都への移動が近いため断った。


 確かにこれでBランクダンジョンを2つ制覇した。あと2つだ。でも僕は明確に実力不足を痛感している。


 水宮のダンジョンのボス戦では死にかけるし、火宮のダンジョンのボス戦では何もできなかった。運が良いだけだよね。

 冒険と無謀な挑戦は似て非なるもの。本当の実力をつけてから残りの2つのダンジョンを制覇したいと思っている。


 リンカイ王国の王都は王国のど真ん中に位置している。ここボムズからは馬車で7日ほどの距離だ。3月1日が入学試験のため余裕を持って2月18日に移動する事にした。


 移動の前日、ギルド長に呼ばれた。王都の冒険者ギルドで、金属性の魔法が詳しい魔法研究所の職員を紹介してくれるそうだ。

 ボムズは半年ほどの滞在だったが、「大変お世話になりました」と挨拶をして冒険者ギルドをあとにした。

 リーザさんとも別れの挨拶をする。子供がいなかったら僕たちの世話をずっとやりたいのにと嘆いていた。


 2月18日、いつもどおり一番高級な馬車を借り王都に向けて出発をした。


 王都への移動は特に何もなく終了した。

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