サルファ・ウォータールとの邂逅
お昼を過ぎていたので屋台でいろいろ購入して2人で分け合って食べた。特に肉の串焼きが美味しかった。結構食べ過ぎたな。
そろそろ安らぎ館に帰ろうと大通りを歩いていると前方から濃い青色の髪色をした高そうなスーツを着た20代半ばの男性が近寄ってきた。後ろには執事風の男性1人とチョーカーをした女性を3人従えている。
「おい、こちらの奴隷はお前のか?お前のなら500万ミラで俺に売れ!」
いきなり僕に向けて言ってきた。奴隷には基本人権が無い。あくまで主人の物の扱いになる。奴隷が問題を起こすと主人のせいになる。そのため奴隷とすぐに分かるように首にチョーカーをする必要がある。チョーカーをしているミカを見て奴隷と推察したのだろう。
「誠に申し訳ございませんが売るつもりはありません」
「なんだ小僧のくせに値段を釣り上げたいのか!最近のガキはどうしようもないな。それなら1,000万ミラなら良いだろ!」
「いくら積まれても売るつもりはありませんのでご容赦ください」
そう言って頭を下げる。この態度のデカい男性はたぶん東の守護者のウォータール公爵家の関係者だ。これだけ濃い青色の髪色は間違いない。なるべく穏便に済ませたい。
「お前は馬鹿か!私はウォータール公爵家の次男のサルファ・ウォータールだ!お前のその髪色ならウチの傍流の貴族なんだろ!本家であるウォータール公爵家に上納するのが当たり前だろ!それなのに金を支払ってやるって言っているんだ!」
「すいません。私は貴族ではありません」
「魔力が弱くて没落して平民になったのか。ん、変だぞ。平民は奴隷は持てないだろ。この奴隷は誰のだ?」
「わたくしの奴隷です」
「だから平民に奴隷は持てないって言ってるだろ!」
「私は冒険者ギルドランクがDランクのため奴隷が持てます」
「馬鹿なことを言うな。お前のような子供がDランク冒険者のわけがないだろ!」
サルファ・ウォータールの後ろに控えていた執事風の男性が静かに口を開いた。
「サルファ様、確か数日前に最年少のDランク冒険者が誕生したと街の噂になっておりました。水色の髪色をした少年とのことです」
サルファは執事に言われてやっと僕がDランク冒険者と理解したようだ。
「たかだかDランク冒険者だろ。平民のくせにこの街でウォータール公爵家に歯向かうと言う事か。今なら間に合うぞ。大人しくその奴隷を1,000万ミラで私に売れ!」
「なんども言いますがこちらの奴隷は売るつもりはありません」
「小生意気なガキだな!お前は少々力があって勘違いしているようだな。数日後には泣いて頼んでそちらの奴隷を私に献上することになるぞ!覚えておけよ!」
そう言ってサルファは立ち去っていった。不安そうな顔でミカが話しかけてきた。
「大丈夫?何か私のせいでウォータール公爵家に睨まれて。いろいろ嫌がらせとかされないかしら」
「まぁなるようになるでしょ。困ったら他の街に移るよ。ウォータール公爵家はここ東一帯にしか権力が及ばないでしょ」
笑顔で返すとミカは泣き笑いの顔になった。
「俺はミカを必要としてるんだ。前にも言ったよね。簡単に僕の奴隷から解放されると思わないでね」
「ありがとう、守ってくれて…」
「そのかわりミカは魔物から僕を守ってくれるでしょ」
目を見開いたミカが笑顔になって言った。
「それは任せておいてね」
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