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第34話 縋り付く想い【ミカの視点】

【第24話〜第33話のミカの視点】


 アキくんがBランク冒険者になった次の日、私は少し二日酔いになっていた。

 昼近くに起きるとアキくんから話があると言われる。

 昼食を食べ終わりアキくんに話を聞くと、蒼炎の魔法は秘密で無くなったし、Bランク冒険者になって権力を持ったから私を奴隷にしている必要が無いんじゃないかって言われた。


 私は一瞬で二日酔いが覚めた。

 リビングからアキくんの部屋に場所を移して会話を開始する。


「ナギに聞かせる話じゃないからね。もう私は必要ないって事? 蒼炎の魔法は秘密じゃ無くなったけどステータスカードについてはどうなの?」


 私の居場所が無くなってしまう。怖くて心が震えてくる。


「たしかにステータスカードは国宝級のお宝だけど無くなってもそれほど問題じゃないよ。それよりミカが望むならミカを奴隷から解放したいと思って」


 アキくんの奴隷からの解放なんて私は望んでいない。私の居場所はアキくんなのに……。

 私は焦る頭で冷静を装う。


「そっか、私の事を考えてくれてるんだ。ありがとう。でも私は戦争奴隷だから奴隷から解放はできないわ」


「それはこの国にいるからだろ。ミカの国のカンダス帝国に行けば奴隷解放できるだろ」


 アキくんは私を必要と言ってくれた人。その証拠が奴隷契約だ。これは私の大事な宝箱。


「カンダス帝国では誰も私を必要としてないわ。私を必要としてくれたのはアキくんだけよ。アキくんが私を必要としてくれる限り一緒にいたいの。奴隷でも特に不都合は感じてないから」


「ミカは僕にとって必要な人だよ。もう家族だと思ってるんだ。僕には血は繋がっている人はいるけど、本当の意味での家族はいなかったからね」


 私にも血は繋がっている人はいるけど、本当の意味での家族ではない。私とアキくんは同じだ。

 私は椅子から立ち上がってアキくんを抱きしめた。


「私ミカはアキくんの忠実な奴隷で家族よ。だからこのままアキくんの奴隷でいさせてね」


「ミカわかったよ。これからも僕の忠実な奴隷のままでいてね」


 本当に良かった。アキくんは私をまだ必要としてくれている。


「ありがとう、ご主人様。これからもよろしくね」


 本心からアキくんをご主人様と言えた。あぁ止まらない。私はアキくんの唇にキスをした。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 ファイアール公爵家筆頭執事のベルク・ファイアードがアキくんを連れ戻しにきた。

 しかし既にBランク冒険者になっているアキくんは問題なく追い返す事に成功した。

 それにしてもアキくんのファイアール公爵での扱いが酷かった事が実感できた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 アキくんがいきなり海水浴をしたいと言い出す。

 とても楽しい海水浴になった。こういう思い出をたくさん残していきたいな。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 ファイアール公爵家がまた人を寄越してきた。今度は前回来たベルク・ファイアードの娘のシズカ・ファイアードだ。

 なかなかの曲者の女の子だ。

 しかしアキくんは軽くあしらっている。そして直接ボムズに行く事になった。

 シズカ・ファイアードを無視する形で別行動の移動だ。

 アキくんに付いていく私はついつい楽しみになっている。

 私は馬車が出発してからアキくんに話しかけた。


「ボムズってどういうところなの?わたし行った事がないから」


「ここより南に位置するから暑いよね。今は夏だから。主食はご飯とパンが半分ずつくらいかな。フルーツなんかも美味しいよ」


「暑いのは嫌だけど食べ物は美味しそうね」


「ミカは北のカンダス帝国出身だから口に合えば良いけど。香辛料を結構使った料理が多いかな」


「へぇ、楽しみね」


「ボムズの街を僕が案内するからね。それも楽しみにしていてね」


「完全な観光旅行みたいね」


「これからもいろんな場所を一緒に巡ろうね」


 私は嬉しくなってアキくんの手を握った。アキくんは手を握り返して私と唇を合わせた。


 今日泊まる宿場町に着いた。アキくんは馭者に一番高級な宿を取るように頼んだ。私とアキくんは同じ部屋だ。

 部屋にお風呂がついていた。アキくんが先にお風呂に入っていく。

 私は当たり前のように服を脱ぎ、アキくんが入っているお風呂に入っていく。

 アキくんは自然に私を受け入れてくれた。

 それがとても嬉しかった。2人で身体を洗いっこをした。私の身体が疼いてくる。

 お風呂を出るともう止まらない状態だった。

 どちらも初めてだったので難儀した。身体はずっと疼いていた。30分ほどして上手くいった。

 行為の最中、私はアキくんの身体の重さを心地良く感じていた。


 行為が終わった後にアキくんを見ていると自然と笑みが浮かぶ。

 何故か涙がこぼれる。

 どんな形であれ、アキくんに必要とされるのが嬉しかった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 アキくんは移動中の馬車では唇を求め、私の胸の柔らかさを求めた。きっとボムズに行く不安があるのだろう。アキくんはファイアール公爵家の人とは血が繋がっているからこそ、複雑な心境があるのかもしれない。

 その不安を埋めるために私が使われる事に嬉しさが募っていく。


 宿では毎日アキくんから求められた。私はそれを全て受け入れる。

 アキくんと私は血が繋がっていない。アキくんと揺るがない絆が欲しい。だからこそ私は身体で繋がりたかった。

 アキくんが私を求めるのは不安から? それとも性欲? そんな事はどうでも良かった。奴隷としても売れ残っていた私をドン底から救い出してくれたのがアキくんだから。そして私を必要としている人がいる。それを感じるだけで私は生きてる意味を感じる事ができるのだから。


 そのような旅程を7日ほど続けた日、行為の後に私はアキくんに礼を言った。


「アキくん、本当にありがとう。私生きてるよ。アキくんのおかげで生きてるのを感じることができるよ」


 少し驚いた顔をしたアキくんは私の胸に包まれながら眠りについた。

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