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第24話 Bランク冒険者の意義・ミカとの繋がり

 Bランク冒険者になった次の日、朝から冒険者ギルドに向かった。なんでもBランク冒険者にはギルド長から話さないといけない事があると言う。1人で来るように言われた。


 冒険者ギルドに到着し、受付でギルド長の面会を申し出た。このまま直接ギルド長室に行ってくださいと言われる。


 2階のギルド長室の扉をノックする。中から「おう!入ってくれ!」と言われたので扉を開けた。


「こないだのソファに座ってくれ」


 僕はうなずくと素直にソファに座る。

 すぐにギルド長は向かいのソファに腰掛けた。

 ノックの音がして先程の受付にいた人が入ってきて、お茶を入れて退室していく。


「今日呼び出したのは他でもない。Bランク冒険者になった時にしないといけない説明をする為だ」


「いろいろあるんですか?」


「まぁそうだな。一つ一つ片付けていくか。まずは身分についてだ」


「身分ですか?」


「Bランク冒険者になるとどこの国でも貴族扱いになるんだ」


「それは凄いですね。でも本当なんですか?」


「冒険者ギルドはどこの国でもあるな。そして魔石を買い取るのは冒険者ギルドだ。魔石は各種魔道具などに使われるエネルギーだな。簡単にいえば冒険者ギルドは各国のエネルギーの買い取りと販売を独占的にやっているんだ。冒険者ギルドに睨まれた国は立ち行かないよ。エネルギーの供給を止めてしまえば良いからな。まずは冒険者ギルドが権力がある事を理解してくれ」


「なるほど理解しました」


「話が早くて助かる。それで冒険者ギルドにとってBランク冒険者は大切なエネルギーを供給してくれるお得意様だ。だからどんな事があろうとも守るんだ。Bランク冒険者になるとどこの国でも貴族扱いになる事は理解できたかな」


「大丈夫です」


「他にはBランクに上がるとギルドポイントが無くなるんだ。Aランクに上がるためにはこのリンカイ王国に4つあるB級ダンジョンの完全制覇しかない」


「厳しそうですね」


「まだこの話には続きがある。Aランク冒険者になると封印ダンジョンに入ることができる」


「それは本当ですか?ファイアール公爵家では封印のダンジョンには何人たりとも入るべからずって聞いていました」


「その唯一の例外がAランク冒険者だ。封印ダンジョンには何が隠されているのか気にならないか?気になるのならAランクにならないとな」


「少しだけ興味をそそりますが、無理して入ろうとは思いませんね」


「なんだ若いのにつまらんことだな。どうせなら【自分が封印のダンジョンを制覇してみせる!】ってくらい言っても良いだろ」


「そうですね。落ち着いたらそれを目指しても面白いかもしれないですね。冒険者ギルドに登録してから遮二無二ギルドランクを上げることばかりやってたんで、まだ次の事を考えついてなくて」


「まぁBランクにあげるために結構無茶苦茶な討伐してたみたいだからな。おかげでウチの支部は良質な魔石がいっぱい手に入って助かったけどな。話は変わるがお前の蒼炎の魔法ってそんなに凄いのか?」


「破壊力が凄すぎてダンジョンでしか怖くて使えないですよ。あ、【黒龍の杖】っていう魔法の威力を抑える杖を持っているのですが、もっと威力を抑える杖ってありませんかね」


「魔法の威力を抑える杖だぁ!?そんな杖なんて需要がないから聞いたことないぞ。そこまでして蒼炎の魔法の威力を抑えたいのか?」


「ダンジョン外で蒼炎の魔法を使ったら辺り一面焦土になりそうです」


「分かった。使わないようにしてくれ。街を焼け野原にはされたくないからな」


 ギルド長はお茶を一口飲んで喋り出した。


「あとはBランク冒険者になると冒険者ギルドの施設が無料で使えるようになる。お前が泊まっている一軒家とか、ここの下の食事処とかな。その他に冒険者ギルドが提携している武器屋や宿屋なんかでは割引サービスなんか受けられるよ」


「なんか凄いですね。ただで一軒家に住めたり食事ができるんですか」


「それだけ多くの魔石を納品してくれるBランク冒険者はギルドに貢献してくれてるってことだ。お前のおかげでウチの支部の職員にはボーナスをはずむ予定だよ。できればこれからもアクロ支部で活動してほしいな」


「家出してきたので一度実家に顔を出そうかなって思ってはいます。その後はまだ考えてないですね」


「以上でBランク冒険者に話す内容は終わりだ。そういえばウォータール公爵家宗主のセフェム・ウォータールがお前に会いたいと言っていたぞ。Bランク冒険者と顔を繋ぎたいんだろ。次男坊の事も謝罪したいみたいだ」


「わかりました。少し落ち着いたら連絡してみます」


「これからもよろしく頼むぞ」


 ギルド長は右手を差し出す。僕はその手を力強く握り締めた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 ギルド長からの話が終わり僕は冒険者ギルドを出た。久しぶりにダンジョンに行かない日だな。せっかくだからミカと一緒に街をぶらつくか。そう思い帰宅した。


 もうすぐお昼なんだけどナギさんもミカもまだ寝ているみたい。結構遅くまでお酒飲んでいたからなぁ。

 あの2人なんかとても仲が良くなったよね。


 まぁ良いことなんだけど昨晩みたいにお風呂に乱入するのはやめてほしいな。

 仕方がないから鍛錬でもするか。


 僕は【昇龍の剣】を持って庭に出る。ミカから教わった剣術の型を丁寧に行う。

 それにしてもこの【昇龍の剣】は凄いな。普通に振っても剣速の速さが半端ない。売ったら結構な値段がしそうだ。ミカが反対しているから売らないけどね。


 レベルアップに伴って身体能力が格段に上がっている。まだこの身体能力を十全に使いこなせてないな。どっかの剣術道場にでも入門するのも良いかも。


 素振りをしているとミカが起きてきた。気怠そうな雰囲気がしている。


「おはよう!ってもうお昼だけどね。二日酔いになったみたいだね」


「少し飲み過ぎたみたい。頭が重いわ」


「ミカがあんなに飲むとは思わなかったよ」


「アキくんがBランク冒険者に昇格して嬉しかったんだからしょうがないじゃない」


「ありがとう。ミカがいてくれたから最後まで心が折れず成し遂げられたよ」


「私はアキくんの奴隷だから当たり前だよ」


「その事なんだけど後から話があるけど良いかな。お酒が抜けてからのほうが良いね」


「ん、分かった。ご飯を食べてからにしましょうか。ナギももう起きてご飯作っていたから」


 そういえば朝ごはんを食べてないからお腹がすいたな。


「それじゃそうしようか。ナギさんは二日酔いになってなかった?」


「あの子は二日酔いになったことないんだって。ザルみたい」


 リビングに行くとご飯の用意ができていた。パンとスープと野菜の炒め物だ。


「ナギさん、おはようございます。お酒は残ってない?」


「おはようございます。大丈夫ですよ。簡単に食事を作りましたので食べましょう」


 リビングには柔らかな日差しが差し込んでいる。テーブルで何気ない会話をしながら食事をした。やっぱり皆んなで食べる食事は美味しいな。


「で話ってなんなの」


 ご飯を食べ終わってお茶を飲んでいた時にミカが聞いてきた。


「それなんだけど、ミカは今後どうしたい?」


「どうって?」


「もう僕の蒼炎の魔法は秘密じゃなくなっているじゃん。Bランク冒険者にもなって権力から守ってもらえるようになった。ミカを奴隷にしている意味が無いんだよ」


「結構、真剣な話なのね。部屋に行って話しましょう」


 リビングから僕の部屋に移動する。ミカは椅子に座り、僕はベットに腰かけた。


「ナギに聞かせる話じゃないからね。もう私は必要ないって事?蒼炎の魔法は秘密じゃ無くなったけどステータスカードについてはどうなの?」


「たしかにステータスカードは国宝級のお宝だけど無くなってもそれほど問題じゃないよ。それよりミカが望むならミカを奴隷から解放したいと思って」


「そっか、私の事を考えてくれてるんだ。ありがとう。でも私は戦争奴隷だから奴隷から解放はできないわ」


「それはこの国にいるからだろ。ミカの国のカンダス帝国に行けば奴隷解放できるだろ」


「カンダス帝国では誰も私を必要としてないわ。私を必要としてくれたのはアキくんだけよ。アキくんが私を必要としてくれる限り一緒にいたいの。奴隷でも特に不都合は感じてないから」


「ミカは僕にとって必要な人だよ。もう家族だと思ってるんだ。僕には血は繋がっている人はいるけど、本当の意味での家族はいなかったからね」


 ミカは椅子から立ち上がり僕を正面から抱きしめてくれた。


「私ミカはアキくんの忠実な奴隷で家族よ。だからこのままアキくんの奴隷でいさせてね」


 ミカは僕の奴隷でいる事が自分を必要とされている証拠と思っているのかもしれない。ミカがこのままで良いなら無理に奴隷から解放しなくて良いか。


「ミカわかったよ。これからも僕の忠実な奴隷のままでいてね」


「ありがとう、ご主人様。これからもよろしくね」


 そう言うとミカは僕の唇にキスをした。

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